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『ナイン・ストーリーズ』 (''Nine Stories'') は、J・D・サリンジャーの自選短編集で、『ライ麦畑でつかまえて』や『フラニーとゾーイー』と並ぶ代表作のひとつ。1953年4月にリトル・ブラウン社から刊行された。 ==解説== 「両手の鳴る音は知る 片手の鳴る音はいかに?」扉に書かれた有名な禅の公案『隻手の声』から始まる本書は、1949年から1953年にかけて雑誌「ザ・ニューヨーカー」など、数誌に発表した短編小説の中からサリンジャーが気に入った9編だけをひとつにまとめたアンソロジーである。作品の順番も『バナナフィッシュにうってつけの日 』(1949年1月)から始まり、最後の『テディ』(1953年1月)と発表順に収められている。特に一番目に収められている『バナナフィッシュ~』については、後のサリンジャーのライフワークと言える「グラース家」をめぐる物語の最初の作品であり、グラース・サーガ最大の謎とされる、グラース家の中心的人物である長男シーモアが自殺するというショッキングな場面が展開される。また、グラース家ものとしては、双子の弟ウォルトの死が間接的に語られ、後に映画『愚かなり我が心』(1949年)の原作となる『コネティカットのひょこひょこおじさん』や、長女ブーブーとその息子ライオネルを通して日常に潜む反ユダヤ主義を描いた『小舟のほとりで』も収録されている。他にも後のサリンジャーの宗教観や神秘主義を感じさせる『ド・ドーミエ=スミスの青の時代』、シーモアの幼少を思わせる天才少年テディが語る不吉な予言で終わる『テディ 』など、サリンジャーを理解する上でも重要な作品となっている。 日本では『ライ麦畑でつかまえて』の邦訳でも知られている野崎孝によるものが有名であるが、2009年に35年ぶりの新訳となる柴田元幸訳版が出版された。邦訳は他にも複数存在する。 サリンジャーが生前、雑誌などに発表した短編には『ナイン・ストーリーズ』に収められている9編以外にも20編ほど存在する。だが、本人がアンソロジーとして出版することを拒んだため、本国アメリカでは、それらの作品を目にすることは難しい。しかし、日本においては版権の関係から、他の20編についても『若者たち』と『倒錯の森』(共に荒地出版社 )というふたつの短編集となって出版されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ナイン・ストーリーズ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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