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九七式中戦車 チハ(きゅうななしきちゅうせんしゃ チハ)は、1930年代中後期に開発・採用された大日本帝国陸軍の中戦車。 1938年(昭和13年)から1944年(昭和19年)にかけて総計2,123輌が生産され、九五式軽戦車 ハ号とともに第二次世界大戦における日本軍の主力戦車として使用された。 == 概要 == 1936年(昭和11年)、日本陸軍において歩兵の直接支援のための戦車として開発が開始された。新型中戦車の開発に当たっては速度性能、車体溶接の検討、避弾経始(原文表記では緩角傾始〔昭和11年6月 陸軍技術本部「新様式中戦車研究方針」JACAR、Ref. C12121824300による〕)を考慮した車体設計など防御性能の向上が求められたが、当時の道路状況、架橋資材その他の状況から車両重量増が最大のネックとなった。重量増を忍び性能の充実を求める声と、防御・速度性能を忍んでも重量の逓減を優先する意見の双方があり、双方のコンセプトに沿った車両を試作し比較試験することとなった〔当時の各種資材は車両の全備重量12t程度を想定して整備されている、という趣旨の発言がなされている。「陸軍軍需審議会に於いて審議の件」参照。〕。主砲についてはどちらも八九式中戦車の主砲と同等とされた。 陸軍技術本部は、前者を甲案(後のチハ車。予定重量13.5トン)、後者を乙案(後のチニ車、予定重量10トン)として設計を開始した。甲案は砲塔に2人が配置され、八九式中戦車と同じく車載機関銃は2挺とされた。対して乙案は砲塔は1人用に小型化され後部機関銃は省略、車載機関銃は車体前面の1挺のみとされた。甲案(チハ車)の砲塔自体の容積は八九式中戦車とほぼ同等であり、戦闘室容積も同様であるが、砲塔中径(ターレットリング径)には余裕を持たせており、将来の主砲の大口径化による砲塔換装が考慮されていた〔『機甲入門』p170。またp167には原乙未生陸軍中将の回想録として「(九七式中戦車の)砲塔中径を大きくし、将来威力が大きい砲に換装することができるよう設計した」とある。〕。 設計案の検討時点では、参謀本部側は甲案の12トン程度への軽量化を要求したものの、技術本部からの不可能との回答を得て、性能差を忍び乙案を大量配備する方針に転換した。性能差は配備数の増加で補えるという意図であるが、同時に甲案の開発継続も要望してもいる〔なお、陸軍省は一貫して軽量戦車の開発を要望している。現在の各種資材が12トンを上限としているから、という理由であった。「陸軍軍需審議会に於いて審議の件」参照。〕。これに対して陸軍戦車学校側は2人用砲塔の甲案が絶対的に優位としていた。装甲・速度性能に関しては乙案でも許容可能だが、戦闘力発揮のためには2人用砲塔が必須との主張であった。一方、新戦車の開発は急がれており、結果的に妥協点を見出せないまま双方を試作して検討する形になってしまう。この混乱が後の試製九八式中戦車チホの開発の一因とされる〔石田鎌蔵「『三式チヌ』誕生への道程」。「丸」2012年12月号掲載〕。 1937年6月にチハ試作車2輌が三菱重工により完成した。チニ試作車は1輌が陸軍造兵廠大阪工廠により試作された。チハ試作車は予定重量13.5トンに収まったが戦車学校の追加修正を加えた結果、最終的に重量は15トンとなった。チニ試作車は予定重量以下の9.8トンに収まった。 チニ車とチハ車の試験の結果はどちらもおおむね良好とされたが、最終的にはチハ車が制式採用され、チニ車は試作のみで中止されることになった。比較的高価、かつ大重量な本車がチニ車を抑えて採用されたのは支那事変により軍事予算全般に余裕ができたのも一因とされる。 生産には三菱重工、相模陸軍造兵廠、日立製作所の他、日本製鋼所、日野重工、小倉陸軍造兵廠、南満陸軍造兵廠(奉天)などが関わっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「九七式中戦車」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Type 97 Chi-Ha 」があります。 スポンサード リンク
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