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木曜会(もくようかい)は、夏目漱石宅で、漱石の教員時代の教え子や漱石を慕う若手文学者が集まり、さまざまな議論をした会合のこと。毎週木曜日に開かれたのでこの名がついた。 == 概要 == 1906年(明治39年)、漱石の家には小宮豊隆や鈴木三重吉、森田草平などが出入りしていたが、同年10月中旬ごろ、鈴木三重吉が毎週の面会日を木曜日午後3時以降と定めた。これが後の「木曜会」の起こりである。この日は誰でも自由に来てよいことにしたので、かつての教え子以外の学生やその他の人物も多く来るようになった。 よく集まる顔ぶれには小宮たちのほか、内田百間、野上弥生子らの小説家や、寺田寅彦、阿部次郎、安倍能成、和辻哲郎などの学者がいた。さらに後の新思潮派につながる芥川龍之介や久米正雄らも学生時代から参加していた。彼らが一般的に漱石門下とされている。漱石は徒弟制などを取らなかったので、阿部次郎は「厳密に言えば漱石の弟子は一人もいない。所謂弟子というのは毎週木曜日に定期的に漱石の門をたたいた者のこと」と述べている。 また、会長や幹事などを備えた組織として「木曜会」が存在していたわけでもない。基本的には来客と面会する場であり、漱石も弟子を指導するような態度は取らず、自由な雰囲気で議論するように心がけていた。和辻哲郎は「森田、鈴木、小宮など古顔の連中は、ともすれば先生は頭が古いとか、時勢おくれだとか言って食ってかかったが、漱石は別に勢い込んで反駁するでもなく、言いたいままに言わせておくという態度であった。(中略)漱石を核とするこの若い連中の集まりは、フランスでいうサロンのようなものになっていた。木曜日の晩には、そこへ行きさえすれば、楽しい知的饗宴にあずかることができたのである」(「漱石の人物」)と述べている。自作についても称賛よりは批判を聞きたがったので、森田草平は「先生の作を読んで、先生の前に出ると、大抵の人が皆悪く云った。悪く云わなければ済まないような気がして悪く云うのである」(『夏目漱石』)という。また、芥川は「漱石先生の話」で木曜会の様子を次のように述べている。 「先生のお宅は玄関の次ぎが居間で、その次ぎが客間で、その奥に先生の書斎があるのですが、書斎は畳なしで、板の上に絨氈を敷いた十畳位の室で、先生はその絨氈の上に座布団を敷き机に向って原稿を書いて居られた。(中略)私達の木曜会はいつもその書斎で開かれました(中略)木曜会では色々な議論が出ました。小宮先生などは、先生に喰ってかかることが多く、私達若いものは、はらはらしたものです。(中略)小宮先生に『あんなに先生に議論を吹っかけて良いものでしょうか』ときくと、小宮さんが言うには『先生は僕達の喰ってかかるのを一手に引受け、はじめは軽くあしらっておき、最後に猪が兎を蹴散らすように、僕達をやっつけるのが得意なんだよ。あれは享楽しているんだから、君達もどんどんやり給え』……というので、それから私達もちょいちょい先生に喰ってかかるやうになりました。」(『芥川龍之介全集』第8巻 岩波書店 1978年) 門下生とされている者以外にも、歌舞伎等の古典芸能に造詣の深かった小宮の紹介で中村吉右衛門が、あるいは森田の紹介で平塚らいてうが参加することがあった。だが、吉右衛門は漱石が歌舞伎にそれほど興味がなかったため(漱石の妻・鏡子の著書『漱石の思ひ出』によると、吉右衛門は漱石に自身の顧問になってもらう心算があったようである)、平塚は森田との煤煙事件で漱石と対立したために、一時的なものとなった。また、『ホトトギス (雑誌)』時代からの旧友高浜虚子も、明治43年に鎌倉に移住するまでは主要な出席者の一人であった。 1916年12月9日に漱石が死ぬと、命日である毎月九日に開かれる、九日会に改められた。第一回の九日会は1917年1月9日に夏目家で開催され、1937年4月9日まで続いた(漱石の孫である半藤末利子の「漱石の長襦袢」文春文庫、P64~65による。同書にある第一回・第二回の出席者名簿には中村是公・大塚保治など弟子ではなく友人にあたる人々も見える)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「木曜会 (夏目漱石)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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