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日本語の乱れ(にほんごのみだれ)とは、規範とされる日本語(標準語、国語)と現実の日本語の食い違いを否定的に捉えた語である。「変化」や「ゆらぎ」ともいう。 食い違いは現実の日本語が変化することでも規範が変化することでも生じうる。乱れは、なくなることもあれば定着することもあるが、その受容の過渡的段階で特に「誤用」などと盛んに取りざたされる。 古い時代の日本語は現代以上に激しく変化し続けてきたとし、昨今言われている日本語の乱れというのはやぼなことと考える意見もある〔金田一春彦『金田一春彦著作集 第二巻』玉川大学出版部、2004年、30頁。〕。この立場からは「言葉は生き物」などと喩えられる。 なお、「言葉の乱れ」という価値判断を伴った概念は言語学には存在しない〔金田一春彦『金田一春彦著作集 第二巻』玉川大学出版部、2004年、96頁。〕が、言語政策等では取り上げられることがある。この違いは、「記述文法」と「規範文法」という考え方の違いを反映している。言語学における文法(記述文法)は言語事実に基づいて記述された当該言語の法則性、規則性である。したがって、記述文法における「文法的におかしい」「非文法的」とされる表現は、(言い誤りを除けば)実際にそのような表現が当該言語に存在しない。一方、言語政策における文法(規範文法)は当該言語話者が従うべき文法とされる。規範文法において「文法的におかしい」とされる表現は、言語事実としては存在するが、その使用が規範から逸脱して不適切と評価される。後者が「言葉の乱れ」に相当する。 == 概要 == 日本語の乱れは近年に始まったことではない。古くは清少納言が作者とされる『枕草子』にも若者の言葉の乱れを嘆く一節がある。 なに事を言ひても、「そのことさせんとす」「いはんとす」「なにせんとす」といふ「と」文字を失ひて、ただ「いはむずる」「里へいでんずる」など言へば、やがていとわろし。 一般社会では往々にして憂慮される現象だが、専門家の間には「言語は変化するのが当然であり、乱れでなく「変化」である」という意見が多くみられる。実際、上記の枕草子に批判される「ムズ(ル)」も中世期に入るとひとつの助動詞として定着していくことになる。 また、日本語の乱れは個人の語感によるほかに、日本政府によっても少なからず注意を払われる。 ただし、政府の姿勢は日本語の変化を即悪いことと考えるようなものではなく、変化を容認することもあれば、積極的に日本語を改造することさえある。例えば、1905年に政府は『文法上許容すべき事項』を定め当時の書き言葉に現れていた「従来破格又は誤謬と称せられたるもの」の一部を追認した。このとき追認された誤用には、例えば「〜なるもの」「挑戦するも果たせず」といった表現がある。それぞれ従来は「〜というもの」「挑戦すれども果たせず」としなければ文法的に誤りだとされていたものだが、これらを誤用と認識する人は現在では少なくなっている。戦後になって『当用漢字』では漢字数の削減と字体の簡略化を打ち出した。『現代かなづかい』は、それ以前の歴史的仮名遣いと異なって、文法や語源に関係なく発音通りに表記することを原則とした。『これからの敬語』 では敬語の簡略化を図った。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「日本語の乱れ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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