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低線量被曝問題(ていせんりょうひばくもんだい)とは、実効線量で概ね100〜200mSv以下の低線量〔虎の巻 低線量放射線と健康影響―先生、放射線を浴びても大丈夫? と聞かれたら (2007) p.109〕の放射線被曝による生物影響に関する問題を言う。日本においては第五福竜丸事件を契機に、1950年代から原水爆実験の死の灰による低線量被曝が大きな社会問題となった〔原水爆(1957)、死の灰(1954)、原子力発電(1976) このとき出てきたのが武谷がまん量(行為の正当化とALARA)の考え方である〕。 環境放射能安全研究年次計画 において重点的な研究課題として取り上げられた〔主に、昭和48年の報告書 に始まる。〕こともあり、その多くの知見は既に公表〔放医研(1978)、放医研(1983)、放医研(1999) など〕・出版〔放医研(2012)(旧版(2007) の改訂版)〕されている。 ==概要== 被曝による放射線障害は、被曝線量に応じて確定的影響(deterministic effects)〔放射線被曝による細胞死などによる細胞の機能不全を原因とする障害である。代表的な例としては急性放射線症候群がある。 基本的に線量はGy(グレイ)で表記される。 〕と確率的影響(stochastic effects)〔放射線被曝による細胞のDNAの損傷を原因とする障害である。DNAは生体機能として修復されたり、アポトーシスなどにより損傷のあるDNAを持つ細胞の排除などにより影響が出ないこともあり、被曝に対して確率的にしか影響は現れない。主な障害はガンと遺伝的影響である。ただし、遺伝的影響は人に関しては確認されていない。 基本的に線量はSv(シーベルト)で表記される。 〕の二つに分類される〔低線量放射線の健康影響について 〕。確定的影響については閾値(threshold)と呼ばれる線量が存在しその閾値以下の被曝では確定的影響は発生しない。一方で、確定的影響の閾値以下の被曝でも、確率的影響(具体的には主にガン)が発生する可能性(確率)は残る。 確率的影響は確定的影響とは異なり閾値が存在せず線量に応じて死亡リスクが増加するという直線しきい値無し仮説(Linear no-threshold hypothesis;LNT仮説)と呼ばれるモデルが取られる〔これは、例えば実効線量で1000mSvの被曝をしたときのリスク A は、実効線量で500mSvの被曝をしたリスク B の二倍危険(A = 2 × B)というような被曝線量とリスクの単純な比例関係を主張するモデルである。 さらに、10mSvの被曝をしたときのリスク C は A の100分の1の危険性、1mSvの被曝をしたときのリスク D は A の1000分の1の危険性・・・というように、被曝線量が0にならないとリスクが0にならない、すなわち閾値がない、というモデルでもある。〕〔放射線影響の科学的な情報を集約しているUNSCEAR、BEIR(電離放射線の生物学的影響に関する委員会;アメリカ科学アカデミー)、放射線防護の基本的考え方や基準等を勧告してきたICRPでは、低線量・低線量率の放射線影響について、「がんのリスクに関しては、被曝線量に伴って増加すると仮定することが科学的に合理的である」とし、LNT仮説を採用している。ただし、LNT仮説に対しては、生物学的知見を元にした様々な批判は存在する。草間(2005) pp.57-58〕。LNT仮説は、動物実験、放射線療法を受けた患者の調査、広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査、その他の被曝に関する疫学調査で統計的に裏付けがされている。しかし、100mSv〜200mSv以下の低線量域においては統計学的に十分なヒトや動物の正確な被曝データが存在しないため統計学的に有意な関係は不明である〔草間(2007) p.47〕。 LNT仮説に従えば、どのように低い線量であっても放射線被曝は生体に対してリスクをもたらすと考えるべきである。しかしながら、低線量域における人体への影響が「科学的に」確定されていないことから、100mSv〜200mSv以下の線量域に確率的影響の閾値が存在しそれ以下の被曝は安全だ(リスクが0になる)という意見などが低線量被曝事故のたびに主張されており、結果的にICRPのALARA (アララ;As Low As Reasonably Achievable)の考え方を理解するにあたっての困難をもたらしている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「低線量被曝問題」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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