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「優しい脅迫者」(やさしいきょうはくしゃ)は、西村京太郎による日本の短編小説。初出は『読物専科〔『小説サンデー毎日』の前身にあたる雑誌。〕』1969年11月号。 のちにエラリー・クイーンが日本人作家の作品を集めて編纂した『日本傑作推理12選』第1集(1977年、光文社カッパ・ノベルス刊)に収録され、英語版タイトル''"The Kindly Blackmailer"''としてイギリスなど海外に紹介された〔。その後フランス語にも訳され、この作品がきっかけで『名探偵が多すぎる』など他の西村の作品もフランスで紹介されることになった〔。 1978年と2001年にテレビドラマ化された。 == あらすじ == 野村晋吉が営む理容店に、見覚えのない男が来店する。顔剃りをしながら職業などを聞いてもはぐらかす男を不審に思った晋吉だったが、「あんたが運転する軽四輪が、幼稚園帰りの女の子をはねたことを知っている。」と言う男の言葉に血の気が引く。実は3か月前、晋吉は男が言った通りの事故を起こして現場から逃げていた。男によると、その女の子は結局亡くなったが、自分以外の目撃者がいないため警察はいまだ犯人を特定できずにいるのだという。晋吉は動揺する自分をなんとか押さえつけながら「強請りですか?」と聞くが、男は「いい腕だ。これからはいつもあんたにやってもらう。」とだけ告げ、料金が400円だと聞くと、用意してきていた借用書に【金四百円】と書き込んで晋吉に渡した。そこには【野村理髪店殿 五十嵐好三郎】と印刷された字で書かれていた。最初から強請り目的、そしてそれはこれからも続くのだと思うと、それから晋吉は毎日夢でうなされるようになる。そしてその予想通り、その後五十嵐はたびたび店に現れては顔を剃らせ、5200円、12000円とだんだん借用書の値を釣り上げ、喫茶店に晋吉を呼んでは金をとるようになる。 顔剃りをする途中、蒸しタオルをこのまま押し付ければ、剃刀をこのまま喉にすべらせれば……。何度も考えるが実行できない晋吉は、五十嵐の弱みを握って強請り返そうと考え、神田にある「大東京探偵社」を訪れて五十嵐の身辺調査を依頼する。あわよくば前科が出てくるかもと期待したが、探偵の報告は意外なもので、五十嵐は元俳優で家族がおり、俳優仲間による五十嵐の評判は「どうしようもないくらいの善人」というものばかりだった。そんなわけがないと疑う晋吉だったが、強請りに来るだろうと思われた日に五十嵐は来ず、代わりにその日の夕刊に五十嵐が幼児を助けようと車の前に飛び出し負傷したというニュースを見つける。もしかしたら心を入れ替えたのかもしれないと期待した晋吉だったが、2日後、やはり五十嵐は足を引きずりながらも店に現れ、「一生つきまとう」と言って4万200円を要求する。耐えられなくなった晋吉は妻・文子と娘・かおるとともに東京郊外へ引っ越すが、幼稚園の転入手続きを終え、新しい理髪店の看板を掲げた頃、やはり五十嵐はやってきた。愕然とする晋吉を前に、五十嵐はいつものように顔剃りを要求する。晋吉は剃刀を持つが、その手が震え、周りの音が聞こえなくなった次の瞬間、五十嵐の喉には剃刀が深々と突き刺さっていた。五十嵐は「俺が…動いたせいだ…と…いうんだ…」と最期の言葉を残して息絶える。 晋吉は殺人容疑で逮捕されたが動機が認められず、五十嵐の言葉通り供述したところすぐ業務上過失致死に切り替わり、結局懲役1年、執行猶予3年となった。以前住んでいた下町に再び引っ越した後、五十嵐の妻・清子が、五十嵐から晋吉宛てだという遺書を持ってくる。そこには、「役者以外に能が無いにも関わらず仕事が無く食べていけない。妻と子供に500万円の生命保険を残すため、誰かに殺されるしかない。そこで、たまたま目撃したあなたの事故を利用させてもらった。テレビや映画では下手な役者だったが、あなたの前で演技が成功したことに満足している。今まで強請り取った金は全てお返しするので、私を許してほしい。」という旨の手紙と、今まで晋吉が強請り取られた全額の金が同封されていた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「優しい脅迫者」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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