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光学文字認識(こうがくもじにんしき、Optical character recognition)は、活字の文書の画像(通常イメージスキャナーで取り込まれる)をコンピュータが編集できる形式(文字コードの列)に変換するソフトウェアである。一般にOCRと略記される。OCRは、人工知能やマシンビジョンの研究分野として始まった。研究は続けられているが、OCRの中心はその実装と応用に移っている。紙に印刷された文書をデジタイズし、よりコンパクトな形で記録するのに必要とされる。さらに、文字コードに変換することで機械翻訳や音声合成の入力にも使えるようになり、テキストマイニングも可能となる。研究分野としては、パターン認識、人工知能、コンピュータビジョンが対応する。 (鏡やレンズといった光学技術を使った)光学文字認識と(スキャナーとアルゴリズムによる)デジタル文字認識は本来別の領域と考えられていた。光学技術として生き残った部分が非常に少ないため、光学文字認識という言葉は現在ではデジタル文字認識を含むものとみなされている。 初期のシステムは特定の書体を読むための「トレーニング」が必要であった(事前にその書体のサンプルを読ませることを意味する)。現在では、ほとんどの書体を高い識字率で変換することが可能である。いくつかのシステムでは読み込まれた画像からそれとほぼ同じになるようフォーマットされた出力(例えばワードプロセッサのファイルのようなもの)を生成することが可能であり、中には画像などの文書以外の部分が含まれていても正しく認識するものもある。 == 歴史 == 光学文字認識の原点は、電信技術の拡張と視覚障害者が文字を読むための機械の開発という2つの問題にまつわる活動である〔Herbert Schantz, ''The History of OCR.'' Manchester Center, VT: Recognition Technologies Users Association, 1982.〕。1914年は、文字列を読み取り電信符号に変換する機械を開発した。同じころはという携帯型スキャナを開発した。これを印刷物のページ上ですべらせると、文字の形状によって異なる音を発する。 ゴールドバーグはデータ入力手段としてOCR技術の開発を続けた。後に彼は、画像を光電管で読み取り、必要な識別パターンを含むテンプレートと比較することでマッチングを見つけるという技法を提案した。1929年、も同様のアイデアを思いつき、ドイツでOCRに関する特許を取得した。アメリカでは1933年、ポール・W・ハンデルが同様のテンプレート・マッチング方式のOCR技術の特許を取得している()。1935年、タウシェクもアメリカで特許を取得した()。 1949年、米国復員軍人援護局から視覚障害者支援のためという要請を受け、RCAの技術者らが初期のコンピュータを使ったOCRを研究した。この研究には、単に活字をコンピュータ内の文字コードに変換するだけでなく、その文字を読み上げるという部分も含まれており、初期の音声合成の研究でもある。しかし、コストがかかりすぎることが判明し、研究は挫折した〔'' "Reading Machine Speaks Out Loud" '', February 1949, Popular Science .〕。 1950年、AFSA(アメリカ国家安全保障局の前身)の暗号解読者は、日本のパープル暗号を解読したことで知られるフランク・ロウレットの依頼により、ルイス・トーデラと共に局の手続きの自動化の勧告案作成に取り組んだ。その中には印刷された文書をコンピュータが処理できる形式に変換する問題も含まれていた。シェパードはそのようなことをする機械 "Gismo" を作成することを決め、友人のハーヴェイ・クックと共に自宅で夜や週末を利用して試作に取り組んだ〔''Washington Daily News,'' April 27, 1951; ''New York Times'', December 26, 1953〕。1953年、シェパードは特許()を取得。Gismoは英語のアルファベットのうち23文字を読み取ることができ、モールス符号を理解し、楽譜を読みとることができ、活字のページを読み上げることができ、タイプされたページを読みとってプリンターで複製することができた。シェパードはその後 (IMR) を設立し、世界初のいくつかの商用OCRシステムを出荷した。Gismo も IMR のシステムも単純な文字マッチングではない画像解析をしていて、いくつかの書体を認識することができた。Gismo は画像中の文字の位置を正確に合わせる必要があったが、IMRシステムではスキャン領域のどこの文字であっても認識でき、実用に耐えるものであった。 最初の商用システムは1955年にリーダーズ・ダイジェスト社に納入され、販売報告書をコンピュータに入力するのに使われた。タイプされた報告書をパンチカードに変換し、それをコンピュータに入力するもので、年間1500万から2000万部を売り上げている同社の事務処理を効率化した〔。このシステムは後にスミソニアン博物館に無償で提供され展示されている。2台目のシステムはスタンダード・オイルがカリフォルニア州でクレジットカードの文字を読み取るために使い、他の石油会社もこれに追随した。IMRが1950年代後半に販売した他のシステムとしては電話会社の請求書読み取り装置やアメリカ空軍のテレタイプ用ページスキャナーなどがある。IBMなどは後にシェパードからOCR特許のライセンス供与を受けている。 1965年ごろ、リーダーズ・ダイジェストとRCAは、使われて戻ってきた同誌の広告についているクーポンのシリアル番号を読み取るOCR装置を共同で開発した。シリアル番号はRCAのプリンターでで印字された。読み取り装置は RCA 301 というコンピュータに直接接続された。この技術はTWAで航空チケットの読み取りにも使われることとなる。読み取り装置は毎分1,500枚の文書を処理でき、正しく読み取れなかった文書は弾かれる。RCAはこれを製品化し、保険会社などが採用した。 アメリカ合衆国郵便公社も1965年から発明家の開発した技術を元にしてOCRマシンを使っている。ヨーロッパでOCRを最初に採用したのはイギリスの郵便局だった。イギリスでは1965年、郵便貯金に相当するがOCRを使った自動化を行った。カナダの郵便局は1971年からOCRを使用している。OCRは受取人の名前と住所を読み取ってソート(分類)するために使われる。そして郵便番号に基づいたバーコードを封筒に印刷する。その後手紙はバーコードにしたがって細かくソートをする。バーコードが宛名とかぶる可能性があるため(基本的に宛名や住所はどこに書いても良い)、バーコードは紫外線ライトで見える特殊なインクを使用している。このインクは通常の光ではオレンジ色に見える。 なお、日本では漢字の読み取りが難しいため、1968年7月1日に郵便番号が導入され、手書きの数字である郵便番号をOCRシステムで読み取ってソートしていた。1998年に郵便番号の7桁化がなされてからはOCRで読み取った際にアメリカのようにバーコード(ただしこちらは可視光では無色なインクを使用)を印刷するようになった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「光学文字認識」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Optical character recognition 」があります。 スポンサード リンク
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