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数学における全商環(ぜんしょうかん、〔Matsumura (1980), p. 12〕)あるいは全分数の環 は、整域に対する商体の構成を、零因子をもつ可換環に対して一般化するものである。この構成は、可換環に対して、その非零因子の「逆元」を付け加えて、より大きな環を作り出す操作になっている。零因子を可逆化することはできない〔''a'' が ''R'' の零元と異なる零因子で、''a'' が ''R'' の全商環 ''Q'' の中で単元となると仮定すると、''R'' の零元でない元 ''b'' で ''ab'' = 0 を満たすものと、''Q'' の元 ''c'' で ''ca'' = 1 を満たすものとが存在することになるが、 0 = ''c''(''ab'') = (''ca'')''b'' = ''b'' となり、''b'' が零元でないことに反する。従って ''R'' の零因子を ''Q'' の単元にすることはできない。〕ので、全商環はもうこれ以上逆元を加えて拡大することはできないものになっている。このことから、全商環は「可能な限り逆元を付け加えた」という意味で最大の環である。 == 定義 == ''R'' が可換環のとき、''S'' を ''R'' における非零因子全体の成す集合とすれば、''S'' は ''R'' の零元を含まない ''R'' の積閉集合(乗法に関して閉じているような ''R'' の部分集合)である。従って、環 ''R'' の ''S'' による局所化として、全商環 ''S''−1''R'' が得られる。可換環 ''R'' の全商環をしばしば ''Q''(''R'') とも表す。 ''R'' が可換整域ならば、非零因子の全体は ''S'' = ''R''∗ (= ''R'' − ) であり、全商環は ''R'' の商体に一致する。整域 ''R'' の商体を ''Q''(''R'') と表すことがあるが、整域の全商環と商体が一致するという事実から、単に ''Q''(''R'') と書いた場合にいずれの意味であるかについて誤解の生じることはない。 作り方から ''S'' は零因子を含まないから、自然な写像 ''R'' → ''Q''(''R'') は単射であり、従って全商環 ''Q''(''R'') は可換環 ''R'' の拡大環となる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「全商環」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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