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共有に係る特許権(きょうゆう-かか-とっきょけん)とは、複数の主体によって共有されている特許権をいう。一人が単独で権利を有する場合と異なり、権利の行使や処分に際し、他の共有者との関係で様々な制約が生じる。実務上は便宜的に共有特許ともよばれる。なお、共有に係る権利の取扱いについて特許法の条文を準用していることから、共有に係る実用新案権、意匠権、商標権についてもこの項で扱うものとし、さらにこれらを出願(登録)する権利についても同様にこの項において扱う。 ==概論== 知的財産権である特許権は財産権であり、一つの権利を複数の主体が共有することが可能な権利である〔厳密には民法における準共有の概念である(民法第264条)。〕。一つの権利を複数の主体が共有するようになる理由としては、共同で発明や創作がなされた場合、権利の一部を譲渡した場合、権利の一部または全部が複数の主体に承継された場合などがある。このような共有に係る知的財産権であっても、原則として権利者は単独所有の場合に行使することができるのと同一の権利を保持する。 しかし、知的財産権の対象は有体物ではなく無体物であり、権利範囲を明確に区分することは不可能である〔但し、各権利者の持分を数字や概念で表すことは可能であり、例えば共同出願契約においては、当事者がそれぞれの持分は○%と合意することが一般的である。この持分比率は、多くの場合実施料の分配や出願および維持保全手続き費用などを計算する際に用いられる。〕。そのため、一の権利者は、自らの持分比率に関わらず権利全体を実施できると同時に、自らの持分にのみ対して行う行為であっても、他の権利者(共有者)の権利を侵害する結果を招く可能性がある。このような思わぬ不利益から権利者を保護し権利の安定性を担保するために、特許法においては、各権利者が共有に係る特許権(特許を受ける権利を含む)の手続、行使または処分をするにあたって、他の共有者の同意を得るか、あるいは共同で行うことを求める条文が規定されている。行為の性質によっては、他の共有者の同意を得たとしても共同で行うことが求められる、いわゆる強行法規として定められているものもある。 原則として、持分の譲渡のように第三者への影響が少ない行為については、他の共有者の同意を得さえすれば行うことが可能である〔例えば、持分の譲渡によって他の共有者のライバル社が権利者となった場合、該当する他の共有者の営業活動に影響が出る可能性がある。そのため持分を自由に譲渡することはできない。〕。持分の譲渡という行為そのものは、権利の存続や権利範囲等、対象となる知的財産権自体に影響を及ぼすものではなく、その行為の結果第三者が影響を受けるものではないので、契約自由の原則に則って、利害関係にある他の共有者の同意を得さえすれば良いというのがその理由である〔但し、一般承継については特許法における譲渡として扱われないため、同意は必要ない。〕。一方、出願、放棄、審判請求といった対象となる特許権の権利範囲や存続そのものに影響を与える行為については、第三者への影響を鑑み、権利の安定性を第一に優先することが求められるので、たとえ共有者の同意があったとしても単独で行うことはできない。このような行為を単独で行った場合は、原則拒絶、却下又は無効とされる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「共有に係る特許権」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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