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初等幾何学(しょとうきかがく〔 矢野健太郎編、東京理科大学数学教育研究所第2版 編集、『』、共立出版、2010年、「初等幾何学」より。ISBN 978-4-320-01931-7〕)とは二次元(点や直線や円など)・三次元(錘体や球など)の図形をユークリッド幾何学的に扱う数学、幾何学の分野である〔。 ユークリッド幾何学的方法とは図形を直接取り扱う方法であり〔、補助線などを用いて基本的原理である公理系や定義から平面・空間における具体的かつ幾何学的な命題・定理を証明していく方法であって19世紀には総合幾何学とも呼ばれた〔 青本和彦、上野健爾、加藤和也、神保道夫、砂田利一、高橋陽一郎、深谷賢治、俣野博、室田一雄 編著、『』、岩波書店、2005年、「初等幾何学」より。ISBN 4-00-080209-7〕。総合幾何学はまた純粋幾何学と呼ばれることもある。 解析幾何学のように座標や代数的式を用いたり、微分幾何学のように解析学を用いたりしないものである〔〔。初等幾何学で扱われる対象が経験的かつ直感的であるためこのように命名されたものと考えられているが〔、数学において初等といえば必ずしもやさしいなどといった意味ではなく、歴史的に最も古い分野の一つであるが〔、近代においても定理が発見されているため、ユークリッド原論などによって完成された分野ではない。例えばラングレーの問題なども20世紀に入ってから出された問題である。 総合幾何学は古典的な射影幾何学も包含し、初等幾何学における問題は何らかの定理や命題を証明するもののほかに、定規とコンパスによる作図問題が有名である。作図問題では定規は直線を引くためだけに用い長さを測定してはならず、コンパスは円を書くためだけに用い書き終わったら直ちに紙から離してすぐに閉じねばならない〔小林昭七、『』、裳華房、1999年。ISBN 978-4-7853-1516-0〕。つまり定規やコンパスを用いて長さを測定したり分度器を使ったりする行為すら初等幾何学においては禁止されており、例えば二つの辺の長さが1である直角二等辺三角形の斜辺の長さはルート2であるが、これも初等幾何学における証明や作図行為においては定規で長さを測っては(測定値を証明などに利用しては)いけないわけである。 初等幾何学の公理系は古代から長らくユークリッドによって完成されたと思われており、多くの数学者や科学者や哲学者などによって批判的に検討されたが、とくに19世紀後半以降にユークリッド幾何学の公理系が本当に間違っていないのか、矛盾しないのかどうか徹底的に検証され、ヒルベルトによって幾何学基礎論によってその成果がまとめられた。20世紀に入ってからもコクセターは総合幾何学的方法を重視したし、ジャン・デュドネは線形代数など代数的・解析的手法を応用して図すら使わず抽象的にその基礎付けを与えたりした。 教育においては長らく重視されてきたが、幾何学基礎論による批判なども相次ぎもっと厳密な数学を教えるべきだと一時期とりただされ、デュドネの著書もそのような流れで執筆されたものである。日本でも明治から戦後まもないころまでは初等幾何学や解析幾何学が体系的に教えられていたが、それ以降は現代化がさけばれ、学校教育において総合幾何学的方法は衰退していった〔 小林幹雄、『』、共立出版、〈復刊・復刻・新装版 〉、2010年、まえがき参照。ISBN 978-4-320-01930-0 〕。小平邦彦などの著名な数学者、科学者たちは過度に厳密すぎるのもかえって問題ではないかと抵抗した。 == 参考文献 == 〔 * 小平邦彦著、上野健爾解説、「幾何への誘い」、岩波書店、〈岩波現代文庫〉、2000年。 * 秋山武太郎著、春日屋伸昌改訂、『』、日新出版、〈わかる数学全書 第3巻〉、1959年。ISBN 978-4-8173-0006-5 C0041 * 矢野健太郎監修、清宮俊雄著、「幾何学 」、〈モノグラフ〉、科学新興社。 ISBN 978-4-89428-188-2 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「初等幾何学」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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