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利己的遺伝子論(りこてきいでんしろん)とは、進化学における比喩表現および理論の一つで、自然選択や生物進化を遺伝子中心の視点で理解すること 。遺伝子選択説もほぼ同じものを指す。1970年代の血縁選択説、社会生物学の発展を受けてジョージ・ウィリアムズ、E・O・ウィルソンらによって提唱された。イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスが1976年に、『The Selfish Gene』(邦題『利己的な遺伝子』)で一般向けに解説したことが広く受け入れられるきっかけとなったため、ドーキンスは代表的な論者と見なされるようになった。 == 概説 == ここでは「利己的」とは「自己の成功率(生存と繁殖率)を他者よりも高めること」と定義される。「利他的」とは「自己の成功率を損なってでも他者の成功率を高めること」と定義される。これらの用語は日常語の「利己」のように行為者の意図やもくろみを表す言葉ではなく、行動自体をその結果のみに基づいて分類するための用語である。行為者がどのような意図を持っていようとも、行為の結果が自己の成功率を高めるのであれば、それは「姿を変えた利己主義」と考えることができる。 個体レベルでの自然選択に注目すると、きびしい生存競争の中でわずかでも利他的な行動をとる個体は、そうでない個体よりも平均して「うまくやっていけない」と予測できる。全ての個体が利他的であれば、その群に属するもの達は非常に上手くやっいけるであろうが、中に一個体でも利己的な個体が混入すれば、利他的個体を食い物にして繁栄するであろう。利己的個体は多くの子を残し、次第に利己的な個体は数を増していくであろう。他集団からの移住や、突然変異など利己的な個体の混入をふせぎ続けることは不可能である(進化的に安定な戦略も参照)。 しかし、現実の自然界では、子育て行為や群れの中での役割分担など多くの利他的行動と考えられる例も見られる。この事実は、一見すると自然選択説の予想と矛盾するように感じられる。 ドーキンスをはじめとする遺伝子選択論者は、選択や淘汰は実質的には遺伝子に対して働くものと考え、利他的行動が自然界に存在しうる理由を以下のように説明した。 # ある遺伝子Aに促された行動は、自ら損害を被っても同じ遺伝子Aを持つ他の個体を助ける性質があると仮定する。これは個体レベルで見れば利他的行動である。 # その行動による個体の損失より遺伝子Aを持つ個体全体が受ける利益が大きいなら、遺伝子Aは淘汰を勝ち抜き、遺伝子プール中での頻度を増していくと考えられる。 # 結果として、遺伝子Aに促された利他的行動も広く見られるようになる。 遺伝子Aは繁殖率が高いので利己的と言える。すなわち、個体の利他的行動も遺伝子の利己性に基づいた行動として説明される。他の個体がある遺伝子を持っているかを直接見極めることは野生動物には不可能である。ドーキンスは、実際の動物の行動について、血縁関係・外見の特徴・同一の群れのメンバーであることなど、同一遺伝子を持つ確率に関係する事柄に基づいていると考えている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「利己的遺伝子」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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