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加圧水型原子炉(かあつすいがたげんしろ、)は、原子炉の一種。核分裂反応によって生じた熱エネルギーで、一次冷却材である加圧水(圧力の高い軽水)を300℃以上に熱し、一次冷却材を蒸気発生器に通し、そこにおいて発生した二次冷却材の軽水の高温高圧蒸気によりタービン発電機を回す方式。発電炉として、原子力発電所の大型プラントのほか、原子力潜水艦、原子力空母などの小型プラントにも用いられる。 == 特徴 == 一次冷却系と二次冷却系という分離された冷却系を有する原子炉では、放射性物質を一次冷却系に閉じこめることが出来る為、沸騰水型原子炉 (BWR) のようにタービン建屋を遮蔽する必要が無く、タービン・復水器が汚染されにくいため保守時の安全性でも有利である。ただ、蒸気発生器という沸騰水型原子炉にはない複雑に配管がからみ合った熱交換器や必然的に増えるポンプや配管類の保守性や安全性は別に考慮されるべきである。実際に蒸気発生器のトラブルは過去に頻発しており、近年は事故があまり起こらないのは保守担当者の労力に拠っている。 沸騰水型原子炉でもほぼ同様だが、加圧水の炉心出口温度を上げることでより高い熱効率を得ることが出来るが、主に燃料棒の金属被覆ジルコニウムの温度に対する脆弱性の問題で、あまり高温にすることが出来ない為に、火力発電所では常識となった超臨界水を熱媒体として使用することは出来ない。沸騰水型原子炉では加圧水型原子炉に比べ、二つの冷却系間における熱交換ロスがないので経済性では優位といえる。 一次冷却材漏洩減少時や喪失時には非常用炉心冷却装置(ECCS、緊急炉心冷却装置)を作動させる。 外部からの即時制御は制御棒によって行われる。ほとんどの加圧水型原子炉では、制御棒が上部から圧力容器を貫いて炉心へ挿入される設計が採られており、また制御棒の駆動機構が故障するなどの非常時には駆動機構から制御棒を切り離して自由落下によって制御棒が炉心に挿入出来るようにもなっている。このため制御棒が格納容器の下部から入れられる設計の沸騰水型原子炉で頻繁に発生して問題となっている制御棒の抜け落ち事故は起こりえない。 制御棒は最も重要な安全装置であり、必要な時に制御棒が炉心から抜け落ちている事態は絶対に避けなければならない。事故発生時に冷却系を停止した後の炉心の冷却は、制御棒が炉心に挿入されている事を前提に事故対応が計画されており、炉心が全力で核エネルギーを開放している場合は、非常用炉心冷却装置による放熱や炉心と一次冷却水の熱容量だけではすぐに限界を迎える。この点で、加圧水型原子炉は沸騰水型原子炉に対して優位であるが、何らかの不具合で制御棒が挿入できない場合には同じように危険である。 加圧された一次冷却材水は熱せられても液体の状態であるため再循環が容易であるが、反面、スリーマイル島原子力発電所事故のように、ひとたび液体でなくなれば一次冷却水の残存量すら判らなくなる様に、通常の制御手段がとれずに、非常用炉心冷却装置の他は冷却の手段がなくなる。 日本の商用炉においては、北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力各社の全原子力発電所、および日本原子力発電の敦賀発電所の2号機(1号機は沸騰水型)で、加圧水型が採用されている〔参考文献『わかりやすい放射線物理学』149ページ〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「加圧水型原子炉」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Pressurized water reactor 」があります。 スポンサード リンク
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