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動物文学(どうぶつぶんがく)は、動物を扱った文学作品の総称である。動物が登場する物語は、文字で描かれたものか口承かを問わず、古来より寓話やおとぎ話のかたちで親しまれており、その中では言葉を話す動物が、しばしば人間存在の象徴的な表現として取り扱われている。近代においては科学的な観察態度の発達に伴い、客観的な観察態度のもとにしながらも文学性・芸術性の高い著作が書かれるようになる。その一方で子供向けの本が多く生産されるようになると、すぐに動物が登場する本が登場し、まもなく動物自身の視点からその生涯を語ったり、あるいは人間との関わりにおいて主要な役割を演じる長編小説が現われた。必ずしも截然と区別できるわけではないが、以下では便宜的な類別の上で動物が登場する文学作品の傾向を解説する。〔ハンフリー・カーペンター、マリ・プリチャード 「動物物語」 水間千恵訳。『オックスフォード世界児童文学百科』 神宮輝夫監訳、原書房、1999年、499-501頁〕〔柏原俊三 「動物文学――その類別について――」 『相模女子大学紀要』 第37号、1973年12月、43-48頁〕 == 自然科学・博物学的著作 == 人によっては「動物文学」の語は、動物を客観的・自然科学的な観察のもとに扱いつつも、その描写や表現において文学性を保持する著作群に限定して用いられている。本来は動植物学や博物学などの分野の記録であったものが文学の領域にまで達しているようなものであったり、あるいは自然を題材としたエッセイであったりするもので、対象に対して客観的でありつつも作者の人間観や人生観をうかがわせ、また詩心や情感に溢れているものが含まれる。例えばアイザック・ウォルトンの『釣魚大全』(1653)、ビュフォンの『博物誌』 (1749-1788)、ギルバート・ホワイトの『セルボーンの博物誌』(1789)、チャールズ・ダーウィンの『ビーグル号航海記』(1839)、アンリ・ファーブル『昆虫記』 (1879-1907)、ウィリアム・ハドソン『ラ・プラタの博物学者』 (1892) といったものである。後述するような寓話・教訓話などにおいては、動物がたとえ話の材料・手段として用いられるのに対し、こうした著作では動物を正面から取り上げ、動物それ自体を目的として書かれている。そういった意味では精密な自然科学的観察に基づいて動物物語を書いたアーネスト・シートンの『私が知っている野生動物』 (1898)、ロマン派の農民詩人の動物詩などもこれに属するものと言える。このほかジュール・ルナールの『博物誌』(1896) も、動物の細密な描写などは一切行わないが、各種の動物の本質をいわば一筆書きのようにして捉えた独特の動物文学として挙げられる。〔〔吉田新一、上笙一郎 「動物文学 」 Yahoo! 百科事典(小学館『日本大百科全書』) 2013年7月28日閲覧〕〔海保眞夫 「動物文学」 『世界文学大事典』編集委員会編 『集英社 世界文学大事典 5』 集英社、1997年、569頁〕〔ハンフリー・カーペンター、マリ・プリチャード 「動物寓話集」 西村醇子訳。前掲 『オックスフォード世界児童文学百科』 499頁〕 このように客観的な立場で対象を記述する態度は、動物を扱う上で常識的・常套的なものと思われがちであるが、実際には感情を極力交えずに書かれた自然詩などと同様、科学の発達と歩調を合わせて現われた近代の所産である。日本においては大正時代から昭和の初期にかけて、柳田國男の「野鳥雑記」や「孤猿随筆」、早川孝太郎の『猪・鹿・狸』(1926)などの動物文学が書かれている。狩猟・牧畜が生活の中心であったために伝統的に動物との関わりが深かった西洋に対し、農耕が生活の中心であった日本においては動物文学は比較的発達を遂げなかったが、近代においてまず現われたのはこうした民俗学的な視点からの著作であった。以後日本でも動物に対する科学的な観察や記録の傾向が芽生えていき、1934年には雑誌『野鳥』『動物文学』が創刊され、こうした中から野鳥賛美を主題にした中西悟堂、動物の飼育記録を題材にした平岩米吉の著作などが生まれていった。〔〔 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「動物文学」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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