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千疋狼、千匹狼(せんびきおおかみ)は、日本の説話の類型の一つ。送り狼と並んでオオカミの説話で有名なものとされ〔平岩 (1992)、189-191頁。〕、「鍛冶が嬶」「小池婆」「弥三郎婆」など、類する多くの説話が日本全国に伝承されている〔多田編 (1997)、168-170頁。〕。 多くは、夜間にオオカミの大群に襲われた人間が木の上に登り、オオカミたちが梯子のように肩車を組んで樹上の人間を襲おうとするものの後一歩で届かず、オオカミが自分たちの親玉の化け物を呼びつける、というものである。動物学者・平岩米吉はこれらを、オオカミが夜に活動する習性、指揮をとる者のもとに集団で行動する習性を意味するとし、オオカミが肩車を組むのは、オオカミの高く飛び上がる身の軽さを表現したものと指摘している〔。 == 鍛冶が嬶 == 鍛冶が嬶、鍛冶が媼(かじがかか、かじがばば)は、高知県室戸市に伝わる説話。 ある身重の女が奈半利(現・安芸郡奈半利町)へ向かうために峠を歩いていた。夜になる頃に陣痛が起き、運悪くオオカミが襲って来たが、そこへ通りかかった飛脚に助けられ、木の上へ逃げることができた。オオカミたちは木の上へは爪が届かないので、梯子状に肩車を組んで木の上へ襲いかかろうとし、飛脚は脇差で必死に応戦した。 その内にオオカミたちは「佐喜浜の鍛冶嬶を呼べ」と言い出した。しばらくすると、白毛に覆われた一際大きいオオカミが鍋をかぶった姿で現れ、飛脚に襲い掛かった。飛脚は渾身の力で脇差しを振り下ろすと、鍋が割れると共に人の叫びのような声が響き、オオカミたちは一斉に姿を消した。 夜が明けて峠に人通りが出始めたので、飛脚は女を通行人に任せ、自分は血痕を辿って佐喜浜の鍛冶屋へ辿り着いた。お宅に嬶はいないかと尋ねると、頭に傷を負って寝込んでいるということだった。飛脚は屋内に入り込み、中で寝ていた嬶を斬り倒した。嬶の姿をしていたのはあの白毛のオオカミであり、床下には多くの人骨、そして本物の嬶の骨も転がっていたという〔松谷他 (1977)、20-22頁。〕。 佐喜浜には現在でも鍛冶が嬶の供養塔が残っている。また佐喜浜を訪れた郷土史家・寺石正路によると、明治時代には鍛冶が嬶の墓石もあったとされ、鍛冶屋の子孫といわれる人々には必ず逆毛が生えていたという〔。 江戸時代の奇談集『絵本百物語』では「鍛冶が嬶」と題し、オオカミに食い殺された女の霊がオオカミに憑いて人を襲う話となっており(絵本百物語#第五巻を参照)、千疋狼のような特徴は見られないが、挿絵ではオオカミの群れが樹上に向かって梯子状に肩車を組む姿が描かれている〔多田編 (1997)、109-110頁。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「千疋狼」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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