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南西諸島(なんせいしょとう)は、九州南端から台湾北東にかけて位置する島嶼群である〔仲田(2009年)p.10〕〔『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』「南西諸島」(1991年)p.550〕〔中村(1996年)p.2〕〔河名(1988年)p.11〕。 == 名称と範囲 == 「南西諸島」という名称は、現在の海上保安庁の前身である水路部が中心となって1887年(明治20年)頃に命名した地名とされ、翌年発行した海図『石垣泊地 日本・南西諸島・石垣島』にその名称が初めて記載されている〔〔『日本の島事典』(1995年)p.380〕。1894年(明治27年)発行の『日本水路誌』以降の海図から本格的に使用され〔、また国土地理院の前身の1つである日本陸軍陸地測量部による1937年(昭和12年)発行の陸図にも記載されている〔安城、割田(2009年)p.12〕。しかし、「南西諸島」の名称は水路部など限定された組織で使用された為か、太平洋戦争が開始されるまで、一般には知れ渡ることは無かった〔。米軍統治下の沖縄でも、公文書のごく一部に「南西諸島」が記載されているだけで、後に日本復帰した沖縄県でも使用例はほとんど無い〔。1965年の第4回「地名等の統一に関する連絡協議会」において「南西諸島」の使用合意がなされ〔安城、割田(2009年)p.11〕、現在の国土地理院の陸図と海上保安庁海洋情報部刊行の海図では、正式名称として使用されている〔。しかし、「南西諸島」は公共機関が決定した行政名称であって、地理学・地球科学で用いられる専門用語ではない〔〔。 以下の表に南西諸島の範囲とその名称を列挙した。ピンクは鹿児島県、薄青紫は沖縄県に属する諸島を表している。''斜体字'' の地名は「地名等の統一に関する連絡協議会」において未合意で、国土地理院で使用している名称を挙げた。 南西諸島は時に、以下の名称と合わせて使用されることがある。 *琉球列島(りゅうきゅうれっとう) :琉球海溝と沖縄トラフとの間に形成された背斜部分が弧状となった島嶼群で、南西諸島のうち、東シナ海の大陸棚上に位置する尖閣諸島と太平洋の深海底上に存在する大東諸島を除く〔〔〔。1907年(明治40年)に発行された地質学者の脇水鉄五郎の著書『沖縄視察談』に見受けられる〔『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』「琉球列島」(1991年)p.729〕。 :上記とは別に、琉球列島は沖縄県全域を構成する島々で、琉球諸島と同義に説明している文献〔『日本の島事典』(1995年)p.188〕〔『島嶼大事典』(1991年)p.536〕もある。 *琉球弧(りゅうきゅうこ) :琉球列島とほぼ同義に扱われるが、厳密には日本列島を形成する島弧の一つで、九州は西南日本弧と琉球弧の結合部分に位置する〔町田(2001年)pp.2 - 3〕〔加藤(1995年)p.158〕。琉球弧は、琉球列島と九州の他に台湾も含む〔〔『沖繩大百科事典 下巻』「琉球弧」(1983年)p.869〕。行政名の南西諸島と異なり、琉球弧は地理学や地球科学分野での学術用語である〔。1870年代にハインリッヒ・エドムント・ナウマンや原田豊吉が命名したドイツ語 " ''Liukiu Bogen'' " を訳した言葉で、南西諸島や琉球列島という名称が成立する以前に存在していた〔。明治時代後期に、琉球弧と同義の琉球彎(りゅうきゅうわん)という用語も現れたが、戦後に入ってからほとんど使用されなくなった〔『沖繩大百科事典 下巻』「琉球彎」(1983年)p.946〕。 *琉球諸島(りゅうきゅうしょとう) :沖縄県に属する全ての島嶼群を示す。南西諸島と同じく行政名であり、一般的に使用されていない。江戸時代中期の新井白石が著した『南島志』を初め、明治時代でも琉球諸島は奄美群島以南の地域を指していた。また沖縄における戦後の米軍統治期でも、奄美群島が日本復帰するまで、米軍は奄美群島以南を琉球諸島と呼称していたと思われる。そして奄美返還後、琉球諸島の範囲は現在に至るまで、本土復帰していなかった沖縄県全域を示すようになった。〔『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』「琉球諸島」(1991年)p.729〕 :上述以外にも、琉球列島のうち沖縄県に属する島嶼群、すなわち沖縄諸島と先島諸島を指し、大東・尖閣諸島を含まないとする文献〔〔もあれば、国土地理院の見解では大東諸島以外の沖縄県全域を指す〔として、資料によって定義が異なる。国土地理院の前身の1つである地理調査所が発行した1958年(昭和33年)以降の陸図から使用されてから、今日の国土地理院刊行の地図にこの名称を用いている〔。 *南島(なんとう) :九州以南の島嶼を示す言葉で、古代から存在し、『日本書紀』に南島人と交流を行ったという記録がある〔『沖繩大百科事典 下巻』(1983年)p.87〕。南西諸島の名称が使用される以前の、1873年(明治6年)発行『南島水路誌』でも確認できる〔。行政・学術名称でもないが、民俗・文化研究に関する資料に多く見られる〔。 また、以下に「南西諸島」とほぼ同義で、現在では使用されていない名称を挙げる。 *州南諸島(しゅうなんしょとう) :「南西諸島」という名称が誕生する以前に海軍省が命名し、九州の南に位置する島嶼群という意味で名付けられたと思われる。1886年(明治19年)発行の水路誌に見られるが、1894年(明治27年)の水路誌には南西諸島へ改名後、一切用いられていない。1885年(明治18年)に大東諸島が日本に編入した際、九州の南よりも多少離れた位置に存在する為か、この名称は相応しくなかったと考えられる。〔『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』「州南諸島」(1991年)p.399〕〔『沖繩大百科事典 中巻』「州南諸島」(1983年)p.375〕 *海南諸島(かいなんしょとう) :1887年(明治20年)頃に田代安定により命名された。その後約30年間にわたって田代は使用し続けたが、途中から州南諸島と同義に扱い、併用している。柳田國男の著書の一部にこの名称は記載されているが、一般には普及しなかった。〔『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』「海南諸島」(1991年)p.250〕〔『沖繩大百科事典 上巻』「海南諸島」(1983年)p.667〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「南西諸島」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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