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単サイト近似 : ミニ英和和英辞書
単サイト近似[たんさいときんじ]
=====================================
〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ひとえ, たん]
 【名詞】 1. one layer 2. single 
近似 : [きんじ]
  1. (n,vs) approximate 2. proximate
: [に]
 (suf) takes after (his mother)

単サイト近似 : ウィキペディア日本語版
単サイト近似[たんさいときんじ]

単サイト近似(たんサイトきんじ、)または単一サイト近似とは、多重散乱理論における総散乱行列''T'' において、ポテンシャルがランダムな場合に平均操作で行われる近似のこと。
== 詳細 ==
ここでは、置換型の不規則二元合金を考え、格子の配置は周期的であるが、ポテンシャル(二元合金なのでポテンシャルは2種類ある)の配置がランダムであるとする。
多重散乱理論から、ここで総散乱行列''T'' は、
: T = \sum_n t_n + \sum_n t_n \tilde \sum_ t_m + \sum_n t_n \tilde \sum_ t_m \tilde \sum_ t_p + \cdot \cdot \cdot
である(→参照:多重散乱理論)。不規則二元合金では、2種類のポテンシャルをそれぞれA、Bとして、それに対応するt行列をtA、tBとする。従って、ポテンシャルがランダムに配置されている場合、上式の各項のt行列の和においてtA、tBがランダムに出てくることとなる。これをそのまま扱うことは現実には不可能で、何らかの平均化(平均操作)を行う必要がある。つまり、
:\beginT\quad\to\quad\langle T \rangle &= \left\langle \sum_n t_n + \sum_n t_n \tilde \sum_ t_m + \sum_n t_n \tilde \sum_ t_m \tilde \sum_ t_p + \cdot \cdot \cdot \right\rangle \\
&= \sum_n \left\langle t_n \right\rangle + \sum_n \left\langle t_n \tilde \sum_ t_m \right\rangle + \sum_n \left\langle t_n \tilde \sum_ t_m \tilde \sum_ t_p \right\rangle + \cdot \cdot \cdot \end
とする。< >は平均操作を意味する。ここで、上式最右辺の第三項に着目すると、これは3つのt行列の積の形となっている。そして、これにはtntmtn、tmtntmのような項が存在する。4次以上の項でも同様で、同一サイト同士の積が残ってしまう。これは平均化にとって甚だ面倒なこととなる。簡単のために1次と2次の場合を考え、ポテンシャルA、ポテンシャルBの濃度比をx:1-x(=y)として平均操作の結果を以下に示す。
1次の平均は、
: \langle t_n \rangle \to \begin x t_A, & n = \mbox \\ (1-x) t_B, & n = \mbox \end
2次の平均は、
: \langle t_n t_m \rangle \to \begin x^2 ^2, & n \ne m, \quad n = \mbox, \quad m = \mbox \\ x ^2, & n = m, \quad n = m = \mbox \end
となる。2次の場合、nまたはmがBの場合は省略(本当は2次の項の場合、n = mとなることはないが、ここでは便宜上n = mの場合を示した)。
1次の場合は良いとして、2次では n =\, m n \ne m の場合とで平均の結果が異なる。つまり、3次以上の項では、t行列の積で同一サイトが含まれ場合と、そうでない場合とで平均操作を場合分けする必要がある。これを現実に行うこは不可能である。実際の平均操作では同一サイトが含まれるt行列の積の項を全て無視し、面倒な場合分けを行わないものとする。これが単サイト近似である。この近似により3次の項の平均操作を例にとると、
: \left\langle t_n t_m t_p \right\rangle = \left\langle t_n \right\rangle \left\langle t_m \right\rangle \left\langle t_p \right\rangle
と各t行列毎の平均操作の積で表すことができる(ここで、 \tilde は省略した)。また、 \tilde は周期的なポテンシャル部分によるグリーン関数なので平均操作に対して不変である。
: \tilde = \left\langle \tilde \right\rangle
以上から、単サイト近似における総散乱行列Tの平均は、
: \left\langle T \right\rangle = \sum_n \left\langle t_n \right\rangle + \sum_n \left\langle t_n \right\rangle \tilde \sum_ \left\langle t_m \right\rangle + \sum_n \left\langle t_n \right\rangle \tilde \sum_ \left\langle t_m \right\rangle \tilde \sum_ \left\langle t_p \right\rangle + \cdot \cdot \cdot
となる。平均操作を施した状態密度D(E)は(D0(E)は自由電子の状態密度)、
\begin D(E) - D_0(E) &= \mathrm \ \\
&= - \mathrm \ \\
&= - \mathrm \sum_ \left\langle T_ \right\rangle_ + y \left\langle T_ \right\rangle_ - \sum_ \left\langle T_ \right\rangle B_ \end
となる。係数2はスピンの縮重度。Imは虚数部分、Trはトレース(跡)を取ることを意味する。更に平均操作は添え字nに対して独立なので、n=0(を原点として)で代表させる(N倍する必要あり。N:全サイト数)。また< Tnn >はフーリエ変換により、
: \left\langle T_ \right\rangle \to T_^ = \tau_^ - B_ ^
として、
: D(E) - D_0(E) = - \mathrm \left\left\langle T_ \right\rangle_ + y \left\langle T_ \right\rangle_ - \sum_ T_^ \right
となる。これが不規則二元合金の状態密度を与える基本式となる。尚、Bqは構造定数( \, B_ )をフーリエ変換したものである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「単サイト近似」の詳細全文を読む




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