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反米(はんべい、)とは、政治・経済・社会・文化などの面で、アメリカ合衆国に反対する感情・主義・主張である。対義語は親米。 == 歴史と要因 == ジェームズ・W・シーザーによれば、「反米」という観念は、17-18世紀ヨーロッパに形成した 〔『反米の系譜学―近代思想の中のアメリカ 』村田晃嗣他訳、ミネルヴァ書房。〕。17世紀以降、ピルグリムファーザーズなどのイギリスの清教徒(ピューリタン)などをはじめ、大量の移民が北アメリカ大陸に渡るが、当時のヨーロッパの知識人の間では「アメリカではすべてが退化する」「すべての生命体が退化するし、犬も鳴かなくなる」ということが語られていた〔。以後、アメリカ大陸は未開の自然状態から、産業資本主義、大衆民主主義、消費社会の象徴として語られて行く。トクヴィルはアメリカの民主政治に対する批判を著書『アメリカの民主政治』で行ない、ヘーゲルやニーチェ、マルティン・ハイデッガー、コジェーブなどヨーロッパの哲学者は、人類社会がとる究極の頽落形態を「アメリカ」に見いだし、そうした「反米」の観念はフランスに代表されるポストモダン哲学やボードリヤールなどにも見いだされる〔。マルティン・ハイデッガーは、アメリカは“破局の地”だったとしている。 19世紀前半、アメリカ合衆国は南北アメリカを自国の勢力圏に置く意図でモンロー主義を掲げてラテンアメリカ諸国の独立運動に軍事介入を行ったため、ラテンアメリカのナショナリズムはしばしば反米に結びついた。ラテンアメリカの反米主義には長い伝統がある。 しかし19世紀末には米西戦争でフィリピン・グアムに進出するなど事実上モンロー主義を棄て、アメリカ合衆国は太平洋そして世界における勢力拡大に乗り出していく。 第一次世界大戦後、パクス・アメリカーナの時代となり、アメリカ合衆国の世界的影響力が強まった。第二次世界大戦までのヨーロッパでは、全体主義・共産主義を掲げる独裁者や軍事政権に、アメリカの民主主義への反感や反ユダヤ主義〔アメリカの財界はユダヤ人が支配しているという陰謀論が広く流布していたため。この説は21世紀の現在でもイスラエル・ロビーの圧力によりアメリカの露骨な支援・支持がされることを根拠に根強く唱えられ続けている。〕から反米感情を抱いた者が多かった。 第二次世界大戦終結後、冷戦の時代になり、アメリカ合衆国が「世界の保安官」「世界の警察官」を自認し(但し何が正義かはアメリカの定義一つで、主張が常に世界に受け入れられたわけではない)、「資本主義(自由主義)陣営の防衛」を名目に、諸外国に対して政治・軍事・経済・社会など諸々の面で介入を行なったこと、アメリカ企業が世界の大衆文化に大きな影響力を持ったことから、反米感情は様々な形で全世界に広がった。 アメリカ合衆国の先進的な文化に憧れを抱く人々も多いが、一方では以下の要因で反米感情を抱く人々も多い。 # 冷戦時代における中南米諸国への軍事クーデターの支援など、反共主義的な独裁者・軍事政権に対する支援。 # 冷戦終結後の、アラブ諸国・イスラム諸国への軍事介入、「民主化」(=政治のアメリカニゼーション)、「親米化」(文化のアメリカニゼーション。世俗化)「グローバライズド」(=経済のアメリカニゼーション)。 冷戦時代には、共産主義を名目とした大国(ソビエト連邦・中華人民共和国)の支配階級も、各国の市民団体や反戦団体を、反米運動の隠れ蓑として利用していた。 ポスト冷戦時代の現在では、アルカイダなどのイスラム主義過激派が、テロなどの武力行使を用いる反米勢力であるとみなされている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「反米」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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