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『口遊』(くちずさみ)とは、平安時代中期に編纂された児童向けの学習教養書。全一巻。源為憲の作。ただし書名は「くちすさび」と読んだかともいう。 == 解説 == 本書はその序文によれば、藤原為光の子である当時7歳の松雄君(のちの藤原誠信)のために編纂されたもので、内容を「門」と称して19の分野に分け、さらに「門」の中の各記事を「曲」と称して数え、総勢378曲を収録したという。序文の最後に「天禄元年(970年)冬十二月二十七日」と記す。本文は漢文で記され、和歌等は借字で表記される。その「門」の内容は、現存する唯一の伝本である真福寺本によれば以下の通りである。 *乾象門六曲 *時節門九曲 *年代門三曲 *坤儀門五曲 *諸国門三曲 *田舎門九曲 *宮城門十三曲 *居処門三曲 *内典門四十一曲 *人倫門十七曲 *官職門五十五曲 *陰陽門四十三曲 *薬方門九曲 *飲食門六曲 *書籍門二十六曲 *音楽門十六曲 *技芸門五曲 *禽獣門九曲 *雑事門十一曲 しかし上でも見られるように実際の「曲」の数は序文に示すものより少なく異なっており、本文を見ても「略之」(これを略す)と記したところがあることから、現存の真福寺本は本来の内容そのままではない「略本」、すなわち抄出本ではないかともいわれている。また巻末には「人事篇」と「竹束篇」という他書からの引用と見られる記事が加えられている。 「曲」の内容は上であげた「門」の様々な知識を、歌うように暗誦して覚えられる形にまとめたものである。たとえば「乾象門」(乾象とは天文のこと)の冒頭には、 というように、覚える物の名をあらわして最後に「これを何々と謂ふ」と但し書きを付け、さらに記事によってはそのあとに「今案ずるに…」と注釈を1字分ほど下げて書き加えるという体裁になっている。ほかに所収の記事としては、いろは歌に先行するとされる仮名を重複させない誦文「大為爾の歌」や、掛け算の暗唱句である「九九」、また十二支(子・丑・寅・卯…)なども収録し、さらに「夜道で死人に出会った時唱える歌」や当時において巨大とされた「三大建築物」、また「三大橋」など興味深いものがある。本書は当時広く流布し『江談抄』などにその書名が見え、のちに類書である『二中歴』・『簾中抄』・『拾芥抄』の内容にも大きな影響を与えた。 『口遊』は弘長3年(1263年)の奥書を持つ大須観音(真福寺)所蔵の「真福寺本」が現存唯一の伝本であり、重要文化財に指定されている。江戸時代には文化4年(1807年)に真福寺本を模写した木板本が京都で刊行されており、のちに『続群書類従』にその本文を底本として収録する。平成9年(1997年)に勉誠社(現勉誠出版)から『口遊注解』が出ているが、現在は品切れとなっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「口遊」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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