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名誉革命(めいよかくめい、)は、1688年から1689年にかけて、ステュアート朝のイングランド王ジェームズ2世(スコットランド王としてはジェームズ7世)が王位から追放され、ジェームズ2世の娘メアリー2世とその夫でオランダ総督ウィリアム3世(ウィレム3世)〔この項目にたびたび登場するウィリアムとウィレムは、同一人物の英語名とオランダ語名である。〕がイングランド王位に即位したクーデター事件である。これにより「権利の章典」が発布された。実際には小規模の戦闘がおこり無血だったわけではないが、当時まだ記憶に新しいイギリスの内戦に比べると無血に等しいということで無血革命とも呼ばれている。清教徒革命と併せて「イギリス革命」と呼ぶ場合もある。 偉大なる革命(Glorious Revolution)と呼ばれるのは、この革命によりイギリスのカトリックの再確立の可能性が完全に潰され、イングランド国教会の国教化が確定しただけでなく、権利の章典により国王の権限が制限され、イギリスにおける議会政治の基礎が築かれたからである。ただしイギリスのカトリック教徒にとっては以後数世紀に渡る受難の始まりであり、イギリスの国王およびその伴侶がカトリック教徒であることは現在でも禁止されている。 なお、オランダによるイギリス侵略という側面を強調する歴史解釈もある〔長谷川輝夫・大久保桂子・土肥恒之著『世界の歴史17-ヨーロッパ近世の開花』(中央公論新社)〕。しかし、現在では、名誉革命は内乱と外国の侵略が併存した「革命」であり、イギリス人の誇り及び介入したオランダ政府の政治的思惑などから、外国の介入の要素が意図的に無視されてきた、とされている。 == 背景 == かねてよりライハウス陰謀事件やモンマスの反乱鎮圧後の「血の巡回裁判」によってチャールズ2世と弟のヨーク公ジェームズは急速に人気を失いつつあった。さらに1685年、チャールズ2世の後を嗣いで即位したジェームズ2世は、かつて清教徒革命のためフランスに亡命していた頃にカトリックに改宗しており、カトリック教徒を重用してこれに反対していたプロテスタントの大臣を次々に罷免していた。このため、ほとんどの議員がプロテスタントであり、カトリックの支配に対して敵意を持つイングランド議会と国王との間に対立が深まった。 ジェームズ2世がそれまでなかった常備軍を設置するに及んで対立は決定的になったが、議会は王に男子後継者が無かったため、プロテスタントとして育てられ、プロテスタント国オランダの総督であるジェームズ2世の甥のオラニエ公ウィレム3世に嫁いでいたジェームズ2世の長女メアリーが後を継ぐことを期待していた。しかし1688年6月10日、メアリー王妃が王子ジェームズを生んだことにより、ついにジェームズ2世との対決を決意し、ウィレム3世・メアリー夫妻にイングランドへの上陸を要請した。 またオラニエ公ウィレム3世の側にも、英国を反フランス・親オランダの側に取り込む目的があった。フランス王ルイ14世はスペイン領ネーデルラントの領有を狙いネーデルラント継承戦争を起こし、次にネーデルラント領有を妨害したオランダへの報復を行い(オランダ侵略戦争)、終戦後も1681年から1684年にかけてルクセンブルク・アルザスのストラスブールを占領してドイツ(神聖ローマ帝国)のプファルツ選帝侯領の継承権を主張するなど欧州侵略の野望を露わにしていった。ウィレム3世はフランスを危険視しており、フランス包囲網を築くためには親フランスのイギリスでは具合が悪かった。また、ジェームズ2世に不満を抱いたイングランドの一部の政治家が1686年からオランダへ渡海、ウィレム3世と接触してクーデターの密議を重ねていた〔『イギリス史2』P251 - P254、『スイス・ベネルクス史』P260 - P264、『イギリス革命史(上)』P254 - P261、『イギリス革命史(下)』P16 - P41。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「名誉革命」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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