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数学における実ベクトル空間の向き(むき、orientation) または向き付けとは、基底の順序付き組に対し「正」の向きまたは「負」の向きを指定する規約のことである。3次元ユークリッド空間における2種類の向きはそれぞれ右手系や左手系(あるいは右キラル・左キラル)と呼ばれる。しばしば右手系が正の向きにとられるものの、右手系を負の向きとするような向き付けももちろんありうる。 実ベクトル空間における向きの概念を基礎として、実多様体などの様々な幾何学的対象にも向きを考えることができる。 == 定義 == ''V''を(0でない:とくに断らない限り以下同様)実ベクトル空間とし、''b''1 = (''b''1(1)…''b''1(''n'')), ''b''2 = (''b''2(1)…''b''2(''n''))を''V''における二つの(順序付き)基底とする。線形代数の基礎的な結果によって、正則線形変換 ''A'' : ''V'' → ''V'' で''b''1を''b''2に移すようなものが一意的に存在する。''A''の行列式が正のとき、''b''1 と ''b''2は同じ向きを持つと言われる。そうでない場合にはこれら二つの基底は逆の向きを持つと言われる。同じ向きを持つという関係は基底の集合上に同値関係を定めており、''V''が 0 次元でなければこの同値関係はちょうど二つの同値類を持つことになる。''V''上の向き付けとはこのうち片方に +1 を振り他方に -1 を振る割り当てのことである。 それぞれの基底は上の同値類のどちらか一方に入っているので、''V''の基底のうち正の向きとするものを一つ選ぶことによって向き付けが与えられる。このとき、選ばれた基底と同じ同値類にある基底が正の向きを持つことになる。例えば、R''n''の標準基底によってR''n''の標準的な向き付けが与えられ、さらに、''V''からR''n''への線形同型を選ぶことによってR''n''の標準的な向きに対応する''V''上の向きを決めることができる。 向きを考える際に、基底をなすベクトルを並べる順番は重要になる。基底をなすベクトルの順番を変えることに対応する置換が偶置換か奇置換かによって順番を並べ替えて得られる基底がもとのものと同じ向きを持つか逆の向きを持つかが決まる。
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