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哀れなハインリヒ : ミニ英和和英辞書
哀れなハインリヒ[あわれなはいんりひ]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

哀れ : [あわれ]
  1. (adj-na,int,n) helpless 2. pathos 3. pity 4. sorrow 5. grief 6. misery 7. compassion 

哀れなハインリヒ : ウィキペディア日本語版
哀れなハインリヒ[あわれなはいんりひ]
哀れなハインリヒ』(原題 Der arme Heinrich)は中世ドイツの詩人ハルトマン・フォン・アウエ(Hartmann von Aue 12世紀後半から13世紀初期)の代表作。残されているハルトマンの4つの作品のうちではもっとも短いが、日本でも比較的よく知られている。癩病(ハンセン病)に冒された騎士と、彼を慕い命を奉げようと決意した清純な少女を描いた物語詩。
== 物語 ==
ハインリヒは姿が美しく、立ち居振る舞いは礼儀作法に適って、領民に慈悲を与える、非の打ち所のない騎士であった。その名声はあまねく各地に響き、騎士に望まれる限り欠けるものとてなかった。しかし彼は、あまりに欠けるところのない生活につい増長の心が芽生え、神罰により業病(ハンセン病)にかかり、その体は徐々に蝕まれてゆく。それまでハインリヒに忠実であった人々も、彼が呪われた病にかかったのを知ると掌を返したように彼を見捨ててしまった。
なんとしても生きたいと願った彼は必死に治療法を探し、ついにサレルノ〔イタリアの都市。ヨーロッパでもっとも古い医科大学がある。〕の名医からその方法を教えられる。それは、自ら命を捧げる穢れなき処女の心臓の生き血を全身に浴びるべし、という忌まわしいものであった。
あきらめたハインリヒは世から隠れて、なおも彼への忠義を失わない一農家で不治の病人として養われるが、ある時そこの主人に問われて治療法を話したのをその家の娘が聞いた。娘は命を捧げてハインリヒの病を癒したいと願い、両親に訴える。両親は強く反対したが、娘は精霊が乗り移ったかのごとく懸命に説得し、親たちもその純真な宗教的熱意に負けて許した。ハインリヒもその申し出を戸惑いながらも受け、娘を連れて、治療をしてくれる名医の所に行く。医師は、娘が自らの志で命を捨てようと願っているのを確認すると、彼女を裸にし、その心臓を切り出そうとするが、ハインリヒは娘の姿の美しさに心を打たれ、罪のない乙女を犠牲にして生き延びようとした自らの愚かさを深く悔恨して治療を中止させた。娘は激しい宗教的情熱ゆえ、ハインリヒを非難さえするが、彼は娘を連れて帰路につく。その時、忌わしい病は神の御手によってすっかり癒されたのだった。ハインリヒは並ぶ者の無い騎士として立ち直り、娘を妻に迎えて、二人は幸福に生きて天の定めた命を全うし、共に天国に迎えられた。


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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