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囚人のジレンマ(しゅうじんのジレンマ)とは、ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである〔。〕。各個人が合理的に選択した結果(ナッシュ均衡)が社会全体にとって望ましい結果(パレート最適)にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれる〔。〕。 1950年に数学者のアルバート・タッカーが考案した〔。〕。ランド研究所のとの行った実験をもとに、タッカーがゲームの状況を囚人の黙秘や自白にたとえたため、この名がついている。 囚人のジレンマではゲームを無期限に繰り返すことで協力の可能性が生まれる(後述)。囚人のジレンマは、自己の利益を追求する個人の間でいかに協力が可能となるかという社会科学の基本問題であり、経済学、政治学、社会学、社会心理学、倫理学、哲学などの幅広い分野で研究されているほか、自然科学である生物学においても生物の協力行動を説明するモデルとして活発に研究されている〔。〕。 == ゲームの基本 == 共同で犯罪を行ったと思われる囚人A、Bを自白させるため、検事は2人に次のような司法取引をもちかけた〔。量刑などの細かい設定は異なる。〕。 * もし、お前らが2人とも黙秘したら、2人とも懲役2年だ。 * だが、お前らのうち1人だけが自白したらそいつはその場で釈放してやろう(つまり懲役0年)。この場合自白しなかった方は懲役10年だ。 * ただし、お前らが2人とも自白したら、2人とも懲役5年だ。 この時、2人の囚人は共犯者と協調して黙秘すべきか、それとも共犯者を裏切って自白すべきか、というのが問題である。なお彼ら2人は別室に隔離されており、相談することはできない状況に置かれているとする。 囚人A、Bの行動と懲役の関係を表(利得表と呼ばれる)にまとめると、以下のようになる。表内の(○年、△年)は囚人A、Bの懲役がそれぞれ○年、△年であることを意味する。たとえば表の右上の欄はA、Bがそれぞれ協調・裏切りを選択した場合、A、Bの懲役がそれぞれ10年、0年であることを意味する。 この場合の(裏切り、裏切り)は、ナッシュ均衡ではあってもパレート最適ではない。 囚人2人にとって、互いに裏切り合って5年の刑を受けるよりは互いに協調し合って2年の刑を受ける方が得である。しかし囚人達が自分の利益のみを追求している限り、互いに裏切り合うという結末を迎える。これがジレンマと言われる所以である。 このようなジレンマが起こるのは以下の理由による。まずAの立場で考えると、Aは次のように考えるだろう。 * Bが「協調」を選んだ場合、自分 (=A) の懲役は2年(「協調」を選んだ場合)か0年(「裏切り」を選んだ場合)だ。だから「裏切り」を選んで0年の懲役になる方が得だ。 * Bが「裏切り」を選んだ場合、自分 (=A) の懲役は10年(「協調」を選んだ場合)か5年(「裏切り」を選んだ場合)だ。だからやはり「裏切り」を選んで5年の懲役になる方が得だ。 以上の議論により、AにとってはBがどのような行動をとるかによらず、Bを裏切るのが最適な選択ということになる。よってAはBを裏切ることになる。 以上の事情はBにとっても同じであるため、BもAと同一の考えによってAを裏切るのが最適な選択である。したがって実現する結果は(裏切り, 裏切り)、すなわち両者とも5年の懲役となる。 重要なのは、相手に裏切られるかもしれないという懸念や恐怖から自分が裏切るのではなく、相手が黙秘しようが裏切ろうが自分は裏切ることになるという点である。このため仮に事前に相談できてお互い黙秘をすると約束していたとしても(それに拘束力が無い限りは)裏切ることになる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「囚人のジレンマ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Prisoner's dilemma 」があります。 スポンサード リンク
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