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三店方式(さんてんほうしき)とは日本のパチンコ店で行われている営業形態。 == 概要 == 日本において賭博は刑法で賭博及び富くじに関する罪として禁じられており、特別法で認められた公営ギャンブル等を除けば金銭を賭けた賭け事を実施することはできない。 パチンコについては特に風俗営業法第23条(1984年8月の風俗営業法改正で制定)により遊技場営業者に以下のことを禁止させている。 #現金又は有価証券を賞品として提供すること #客に提供した賞品を買い取ること(いわゆる「自社買い」) #遊技の用に供する遊技球等を客に営業所外に持ち出させること #遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること〔貯玉はカードに遊技球の数が記載されていない限りは合法との見解が警察庁から出されている。〕 1又は2に違反した営業者は6ヶ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、3又は4に違反した営業者は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金の刑事罰をそれぞれ規定している。また違反して「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害した」とされた場合は、営業者に対して営業許可取り消し又は6ヶ月以内の営業停止命令のペナルティが課すことが風俗営業法第26条で規定されている。また1984年以前から地方自治体の風俗営業法条例では「遊技場営業者が客に提供した賞品を買い取らせること」を禁止し、違反者に刑事罰を規定している例がある。 そのためパチンコでは出玉(4円以下〔風俗営業法第19条・風俗営業法施行規則〕)を現金ではなく景品(9600円に消費税額を加えた分以下)と交換している。しかし、実際は特殊景品と呼ばれる景品を介在させることで、出玉を金銭と交換することが事実上可能になっており、この特殊景品を用いた営業形態を「三店方式」という。これによりパチンコはギャンブル的な要素を持つとされている〔(財)社会安全研究財団による「パチンコに関する世論・有識者調査」 〕。特殊景品にはボールペンやライターの石、ゴルフボールなど様々な品物が使われる。東京都では1990年頃に金商品が導入された。特殊景品は現在、東京都や神奈川県では1000円単位や500円単位が主流である。九州や四国などの地方都市では大別すると5000円/1000円/200円単位(一部店舗では100円単位)の3種類が主流である。愛知県のように特殊景品の交換に対して消費税額を引いた金額を出すところも存在する。 三店方式による営業の流れは概ね以下のとおりである。 #客がパチンコホールに来ると、遊技場営業者であるパチンコホールは客の現金と遊技球(いわゆる「出玉」)を交換する。 #客はパチンコで増やした出玉をパチンコホールに持参し、パチンコホールは出玉を特殊景品と交換する。 #客が特殊景品を景品交換所に持参すると、古物商である景品交換所は特殊景品を現金で買い取る。 #景品問屋が景品交換所から特殊景品を買い取り、パチンコホールに卸す。 パチンコホール、景品交換所、集荷業者、卸業者と四店を経由する場合もあり、この場合は「四店方式」という〔中国新聞 - 景品の直接買い取りで逮捕 〕。 客の利便上から景品交換所はパチンコホールから遠くない距離の場所に存在しており、パチンコホールの出入り口付近や、パチンコホール建物内部に存在している地域もある。景品問屋は景品交換所やパチンコホールとは人的・資本的には別の法人が営業し、景品交換所もパチンコホールや景品問屋とは人的・資本的には別の法人が各都道府県の公安委員会に古物商の許可を受けて営業している。これは前述の風俗営業法第23条であるように「自社買い」を禁止しているからである。パチンコホールと景品交換所は特殊景品について客や景品問屋を介在しており、パチンコホールと景品交換所は無関係であるという建前になっている。これによりパチンコ業界は違法性を逃れようとしている。 なお、景品交換所は買取についてパチンコの特殊景品しか受け付けておらず、偽造景品を換金しようとする客については詐欺罪で告訴している。 また、古物営業法第15条第1項では古物商は客に対して身分証明書等で住所や氏名等の身元確認を義務付けており、違反した古物商は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金の刑事罰となる。特殊景品の換金行為をする客からは古物商である景品交換所から身分証明書等によって身元が確認されることが敬遠されているために殆ど行われていないが、古物営業法第15条第2項及び古物営業法施行規則第16条に規定された例外条項により換金総額(「対価の総額」)が1万円未満での取引については客の住所や氏名等の確認をする必要は無い規定〔古物営業法施行規則第16条第2項では、1万円未満の取引でも客の住所や氏名等の確認を義務づける古物として「自動二輪車及び原動機付自転車」「専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物」「光学的方法により音又は影像を記録した物」「書籍」が規定されているが、「特殊景品」は該当しない。〕により、特殊景品の換金総額が1万円未満の取引であれば客の住所や氏名等の確認をしなくても違法にはならない。ただし、特殊景品の換金総額(「対価の総額」)が1万円を超える取引は客の身元確認義務づけの対象となる。この規定に対処するため、1人の客が特殊景品の換金総額が1万円を超えた取引をする際に景品交換所は買取帳簿記録上では身元不明な複数の客が「対価の総額」で1万円未満の取引を複数回行ったことにするという建前で身元確認義務を免れようとしているが、「対価の総額」という言葉を厳格に判断するとこのような行為は法の趣旨に反するとして違法行為の可能性がある。 実際は三店形式は形骸化しているが警察などはそれほど問題視しておらず、景品交換所に偽造景品が持ち込まれた詐欺事件の被害届がパチンコホールから提出された事例〔川崎でパチンコ景品の偽物/560万相当、詐欺で捜査 〕もあるが、賭博や風営法違反などの捜査は行われていない。ただ形骸化しているとはいえ依然「自家買い」等の明らかな違法行為は警察の摘発対象であり、2010年現在も摘発事例が存在する〔■ 自家買い容疑で経営者ら書類送検 - 月刊グリーンべると・2010年12月3日〕。 また、地方自治体の迷惑防止条例では「遊技場営業所又は遊技場営業所付近においてうろついて、遊技客が手に入れた景品を転売目的で買い集める行為」を禁止し、違反者に罰金刑を規定している例がある。 三店方式自体は終戦直後にパチンコが大ブームとなった際に、パチンコの大人気にあやかってパチンコ景品であった「煙草」(初期段階の特殊景品)の換金行為をする「買人」が客とパチンコ店の仲介役として利ざやで利益を出す者が登場する中で、換金行為に暴力団などの不法者が介入してくるようになり、煙草の換金行為をたばこ専売法違反で規制しても換金行為をされるパチンコ景品が「チューインガム」や「砂糖」等に変更され、景品換金利権を巡る抗争が激化した事態に対処するためにパチンコ業界が景品換金行為の健全化を模索した結果として1961年に大阪で元大阪府警警察官だった水島年得が考案して誕生した「大阪方式」がきっかけとなり、それが全国に拡大したという経緯がある。なお、三店方式のオリジナルである大阪府の三店方式(大阪方式)は景品換金業務を大阪身障者未亡人福祉事業協会に委託させることで未亡人や障害者などの社会的弱者に雇用を提供して社会貢献に寄与していたこともポイントとなっている。 さらに、客の立場からするとパチンコで増やした出玉を現金ではなく特殊景品に「交換」し、特殊景品を「売却」するという形になるため、税のかかる一時所得に該当しないというメリットがある。このメリットは当たり券に対し直接現金を「配当」する公営ギャンブルには存在しないものであり、公営ギャンブル等で年50万円以上(当たり券の購入金額は控除。ただし外れ券は控除されない)の一時所得を得た場合その半額を課税対象の所得として計上される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「三店方式」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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