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質取行為(しちとりこうい)とは、中世日本において、別の地域に住む債務者から弁済を受けられなかった債権者が、債務者と同一の地域に住む第三者(債務者との面識の有無は問わず)の身柄あるいは財物を債務の賠償として私的に差し押さえる行為。また訴訟の当事者が係争相手と同一の地域に住む第三者に対して行われる場合もある。 この場合、対象とした「地域」によって呼び方が異なる。 *同一の令制国居住者を対象とする質取行為→国質(くにじち) *同一の荘園居住者を対象とする質取行為→荘質(しょうじち・庄質) *同一の郷居住者を対象とする質取行為→郷質(ごうじち) *同一の村居住者を対象とする質取行為→村質(むらじち) *同一の所(都市・町・所領・座)居住者を対象とする質取行為→所質(ところじち) これらの行為は対象とする地域の範疇を異にするだけで内容的にはほぼ同一の行為である。 == 概説 == これは氏族社会における血縁関係者に課された集団責任・連帯責任が、氏族社会の崩壊と地縁による社会形成に伴って転換されて慣習法化されたものであると言われている。これは当時の人々が人間は居住する地域によって生かされて生涯を送るという認識を持っていたことと関係しているとも言われている。特に守護領国制や郷村制の形成が進んだ南北朝時代以後によく見られるようになった。また、郷村制が発達した東国では郷質が、郷村制が発達せず商業・交通が盛んであった西国では所質が多かったと言われている。なお、問題の行為が殺人であったりした場合には仇討・復讐の一環として下手人の代わりに質取対象者の生命を差し押さえて没収する行為も「質取行為」として正当なものとされていた。 室町幕府や戦国大名なども市場や路上などのいわゆる「アジール」的な場所での質取行為は禁止したものの、前述の地縁に関する認識の存在と慣習法としての一般認識の存在、他に債務者に対して債務返済への心理的圧力としてある程度までは有効性があったことから、規制は行われても禁止にまで踏み切った法は存在しなかった。 江戸幕府が全国支配を確立して、幕府による法の支配が確立されるまでこうした慣習は存在していたとされている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「質取行為」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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