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垂井式アクセント(たるいしきアクセント)は、近畿地方周縁部や福井県の一部、富山県などに分布する日本語のアクセントの総称。服部四郎が岐阜県垂井町で発見し、このように命名した。 ただ、「垂井式」という名称は十分に定着したものではなく、学者によって異なる呼称が使われることがある。金田一春彦は「京阪式アクセント(ちがう方向に変化している)」〔金田一春彦監修、秋永一枝編『新明解日本語アクセント辞典』三省堂、第4刷、2002年、巻頭の図〕や「型の区別の少い京阪式アクセント」〔大野・柴田編『岩波講座 日本語11 方言』(1977)、176-177頁。〕と呼んでおり、京阪式アクセントの変種として扱っている。 == 概説 == 東京式アクセントは音の下がり目の位置を弁別する体系を持っている。例えば「命が」は「いのちが」、「言葉が」は「ことばが」、「形が」は「かたちが」である(高い拍を太字で示す)が、これらは下がり目のみが固定されており、語頭の高低は固定されていない。例えば、これらの語の前に「この」を付けると、「このいのちが」「このことばが」「このかたちが」のようになる。下がり目をで表すと、「のちが」「ことが」と解釈され、「かたちが」は下がり目がない。一方、京阪式アクセントでは音の下がり目の位置に加え、語頭の高低も弁別する。たとえば、「形が」は「かたちが」、「兎が」は「うさぎが」で、語頭の高低が固定されている。 近畿地方周縁部などには、東京式と同じように下がり目の位置のみを弁別する体系でありながら、各語彙の下がり目の位置そのものは京阪式と似たようになる体系のアクセントがある。これを垂井式アクセントと呼び、京阪式の領域と東京式の領域の接する地域に分布している。例えば、垂井式である兵庫県赤穂市のアクセントでは、「歌が」は「うたが」、「雨が」は「あめが」または「あめが」、「枝が」は「えだが」または「えだが」で、京阪式の「うたが」「あめが」「えだが」と下がり目の位置が一致する〔大野晋・柴田武編『岩波講座日本語5音韻』岩波書店、1977年、292頁。〕。しかし語頭は高でも低でもよく、語頭の高低は弁別されない。赤穂市のこれらの語のアクセントは、「たが」、「あが」、「えだが」(下がり目なし)と解釈される。 垂井式アクセントの成立をめぐっては、元々京阪式アクセントだったものが、語頭が高いもの(高起式)と低いもの(低起式)の区別を失ってできたとする説が有力である。例えば京阪式で「高高高」と発音する「枝が」「飴が」などと、京阪式で「低低高」と発音する「何が」「松が」などが、垂井式ではどちらも「高高高」(一部で「低高高」)になっていることがその根拠である。一方、元々東京式だったものが、京阪式と接触して垂井式アクセントを生んだとする説(山口幸洋)もある。 かつて兵庫県朝来市山口地区(岩津を除く)は東京式アクセントであったが、大正時代に播但鉄道(現・JR播但線)が開業して以来、兵庫県播磨地方から商人たちが北上し、アクセントは垂井式へと変化した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「垂井式アクセント」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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