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『濹東綺譚』(ぼくとうきだん〔1937年(昭和12年)岩波書店発行の初版本において、作品名はすべて「ぼくとうきだん」とルビが振ってある(同書p146・147・153ほか)。〕)は、永井荷風の小説。私娼窟・玉の井を舞台に、小説家・大江匡と娼婦・お雪との出会いと別れを、季節の移り変わりとともに美しくも哀れ深く描いている。荷風の日記『断腸亭日乗』には荷風の玉の井通いの様子が書かれており、主人公の大江は作者の分身と考えられる。荷風の小説中、最高傑作ともされ、1960年・1992年・2010年に映画化された。 == 成立 == 『断腸亭日乗』によれば、1936年3月から向島・玉の井にある銘酒屋街(私娼窟)の探訪が始まり、4月22日に随筆『寺じまの記』が書かれた。銘酒屋街は、1918年・1919年(大正7年・8年)から関東大震災の後にかけて、浅草(十二階下)から玉ノ井駅(現東武伊勢崎線東向島駅)付近に移転してきたものである。 荷風はこの界隈に強い興味を抱き、日記に精密な地図も描いている。9月7日にはヒロインのモデルとおぼしき女性の出会いが記され、しばらくこの女のもとに通った。9月20日に「この町を背景となす小説の腹案漸く成るを得たり。」との記事があり、翌21日の起草後も、連日のように玉の井に通った。脱稿は10月25日。「作後贅言」を11月に脱稿。 翌1937年(昭和12年)4月、私家版として鳥有堂より刊行、同書には荷風が撮影した玉の井のスナップ写真が添えられている。同年、木村荘八の挿絵とともに『東京朝日新聞』に連載された後、岩波書店から単行本が刊行された。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ぼく東綺譚」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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