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『夏子の冒険』(なつこのぼうけん)は、三島由紀夫の7作目の長編小説。無邪気で破天荒な美人のお嬢様・夏子が、猪突猛進な行動力で北海道に向い、仇討ちの青年と一緒に熊退治に出かける恋と冒険の物語。夏子に振り回される人たちの慌てぶりを交え、コミカルなタッチで描かれた娯楽的な趣の作品となっている。 1951年(昭和26年)、週刊誌『週刊朝日』8月5日号から11月25日号に連載された(挿絵:猪熊弦一郎)。単行本は同年12月5日に朝日新聞社より刊行された。文庫版は角川文庫で刊行されている。翌々年の1953年(昭和28年)1月14日には、角梨枝子主演で映画も封切られた。 村上春樹の『羊をめぐる冒険』は、『夏子の冒険』のパロディあるいは、書き換えであるという仮説がよくいわれている〔佐藤幹夫『村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる』(PHP研究所、2006年)〕〔高澤秀次『吉本隆明 1945-2007』(インスクリプト、2007年)〕〔大澤真幸『不可能性の時代』(岩波書店、2008年)〕。 == 時代背景・主題 == 『夏子の冒険』は、「お嬢さま」を主人公とした三島の作品群の中でも、特にヒロインが大活躍し、女子の魅力があふれているものの一つであるが〔千野帽子「熊をめぐる冒険―1951年の文藝ガーリッシュ」(文庫版『夏子の冒険』)(角川文庫、1960年4月10日。改版2009年)〕、この作品の執筆当時は、まだ日本が敗戦後数年しか経っておらず、連合国の占領下の時代で、女子の4年制大学進学率も低く、良家のお嬢さんは高校や短大などを出ると「良縁」を待つことが一般的で、主人公・夏子もそうした良家の子女の設定となっている。また、夏子が惹かれる青年は、恋人を熊に殺され仇討ちに行く若者の設定となっている。 三島は『夏子の冒険』の主人公たちについて次のように述べている。 上述のように、北海道は当時まだ「外地」に近い雰囲気を漂わせていた時代であり、歴史的に見て、「近代国家」と「北海道」の関係を反映していた作品という面もある〔。なお、そういった点の見られる同系列の小説は他に、有島武郎『カインの末裔』、吉屋信子『海の極みまで』、武田泰淳『森と湖のまつり』、安部公房『榎本武揚』、池澤夏樹『静かな大地』などがある〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「夏子の冒険」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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