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複数中心地言語(ふくすうちゅうしんちげんご、、)または多極的言語(たきょくてきげんご)は、複数の規範(標準語またはそれに類するもの)を持つ言語である。 ==概要== 一般に、複数中心地言語は国境を越えて複数の国や地域で話されており、母語と民族意識のかかわりも単純ではない場合が多い。複数中心地言語の例としては、英語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語、ペルシア語、朝鮮語、セルビア・クロアチア語、スワヒリ語、スウェーデン語、スペイン語、アラビア語、アルメニア語、ベンガル語、ヒンドゥスターニー語、マレー語、中国語などがある。複数中心地言語のそれぞれの規範は、お互いに方言の関係にあるとみなすことができ、また多くの場合は相互理解が可能である。 ひとつの言語が複数の規範を持つに至る経緯としては、その言語の話者が地理的・民族的・宗教的・政治的隔絶により複数の政治・社会集団に分かれ、それらの集団が個別に規範を定めたことによるものがほとんどである。 地理的隔絶によって話者が複数の社会集団に分かれている場合、その言語の各々の地域での方言に基づき各々の規範が作られることが多く、各々の規範はお互いにある程度異なっていても同一の言語と主張されることが多い。典型的な例としては英語(イギリス英語、アメリカ英語等)やスペイン語(スペインのスペイン語、中南米諸国のスペイン語等)がある。 一方、民族的・宗教的隔絶により複数の規範が生じている場合、しばしば同一の地域方言に基づいて複数の規範が定められており、各々の規範の差は地域方言というより社会方言の様相を示す。この場合、各々の規範はお互いの差が極めて小さくても別言語と主張されることが多い。典型的な例としてはセルボ・クロアチア語(セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語の標準語はいずれも新シュト方言の東ヘルツェゴビナ方言に基づく)、ヒンドゥスターニー語(標準ヒンディー語、標準ウルドゥー語はいずれもデリー方言に基づく)がある。 このほか、複数中心地言語の実態は、各々の言語によって様々である。特殊な例として、同一国家・同一民族・同一言語にもかかわらず複数の標準語を持つノルウェー語(ブークモール、ニーノシュク)がある。 言語によっては、複数中心地言語のそれぞれの規範を同一言語とみなすか別言語とみなすかという議論が政治的にセンシティブな問題となっている場合がある。典型的な例としては、ルーマニア語とモルドバ語の関係があり、「モルドバ語」という用語の使用自体もしばしば議論になる。また、各々の規範が別個の言語名を定めている場合、その言語の全体としての名称も問題となる。カタラン語/バレンシア語の言語名問題、漢字文化圏での朝鮮語の呼称問題などが例として挙げられる。 なお、単一の規範を持つ単一中心地言語としては、ロシア語、日本語、アイスランド語、アルバニア語などがある。ただ、日本語においても、江戸時代には上方と江戸の二方言が中央語として並立していた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「複数中心地言語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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