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大蔵大根(おおくらだいこん)は、東京都世田谷区近辺で多く栽培される大根の品種である。江戸時代に豊多摩郡(現在の杉並区付近)で栽培されていた「源内づまり」という品種の大根が世田谷の大蔵原(現在の世田谷区大蔵付近)に伝わって改良され、「大蔵大根」として1953年(昭和28年)に名称登録された〔仲宇佐、125頁。〕〔大蔵大根 祖師谷どっとこむ(祖師谷商店街ウェブサイト)、2013年5月18日閲覧。〕〔『江戸・東京ゆかりの野菜と花』、85頁。〕。栽培しやすい青首大根の普及などに伴って一時は衰退したが、世田谷区内の農家が1997年(平成9年)から栽培に取り組み、世田谷区の地場野菜として復活を果たしている〔〔せたがやの地場野菜「大蔵大根」 世田谷区役所ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕〔大蔵大根 江戸東京野菜普及推進協議会ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。 == 歴史 == 大蔵大根の原種は、練馬付近を原産とする「秋づまり」という品種とされる〔〔。「秋づまり」は白首系の大根で早生種であり、煮食に適する品種でぬか漬けにも向いていた〔。この品種を江戸時代に西山(武蔵野台地)に属する豊多摩郡で農業を営んでいた「源内」という人物が晩生種として改良したものが「源内づまり」という品種となって大蔵原に伝わり、広く栽培された〔〔〔 世田谷区役所ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。その後大蔵の石井泰次郎が耐病性のある品種としてさらに改良し、1953年(昭和28年)に「大蔵大根」として名称登録した〔〔〔。 「秋づまり」系の大根は根の形が円筒形を呈し、尻(根の先端)が丸く詰まって肉付きが良いことからこの名称がある〔〔。大蔵大根は根の長さが約50センチメートルから60センチメートルと青首大根に比べて長く、重さは4キログラムから5キログラムほどもあって青首大根の倍以上ある〔〔大蔵大根が収穫時期を迎えました 世田谷区役所ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。色は艶のある純白色のため、青首系の大根とはすぐに区別ができ、首から尻までの太さがほぼ均一のため輪切りにしてもそろった形にできるため食材として無駄がなく、出来上がった料理の見栄えもよい〔〔。根の部分は水分が少なくて甘みが多いが、尻に向かうほど辛みが強くなる〔〔。葉の部分は柔らかいためサラダなどの生食や小松菜と同様におひたしや炒め物にも向き、根の部分は肉質が緻密なため煮崩れしにくく、おでんや煮物に最適である〔〔〔〔。 大蔵大根は昭和40年代までは、世田谷区内で広く栽培されていた〔〔よみがえれ!江戸東京伝統野菜|第18回 大蔵大根 都政新聞株式会社ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。しかし、核家族化が進んだために大ぶりの大根の需要が減った上に、1974年に登場した病害に強くて小ぶりで栽培しやすく、片手で引き抜けるほどに収穫もしやすい青首大根の普及に押されて、重くて引き抜くのに力がいる大蔵大根は次第に姿を消していった〔〔〔。1997年から世田谷ゆかりの伝統野菜を見直し、区内の農産物PRにも役立てようと、改良して栽培しやすくなった交配種(F1)をもとに世田谷区内の農業者たちが大蔵大根の復活に取り組み始めた〔〔〔〔 世田谷区役所ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。 大蔵大根はなかなか市場には流通しないが、11月中旬から12月中にかけて世田谷区内の直売所で販売される他に、学校給食でも地元の食材として使用されるなど認知度が高まり、直売所に出した分はすぐに完売するほど人気が出ているという〔〔。世田谷区深沢にある東京都立園芸高等学校では2010年7月に行われた江戸東京・伝統野菜研究会代表大竹道茂の講演を契機として、農業科の生徒たちが2011年4月に「江戸東京野菜プロジェクト」を立ち上げ、大蔵大根を始めとする江戸・東京の伝統野菜の復活と普及に取り組んでいる〔 東京都立園芸高等学校ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕〔 東京都立園芸高等学校ウェブサイト、2013年5月18日閲覧。〕。 なお、従来からの大蔵大根の伝統を絶やさないための栽培が世田谷区内の瀬田地区や小金井市の農家で取り組まれ、園芸高等学校にも種子が配布されている〔〔伝統野菜・大蔵ダイコンの故郷、世田谷で固定種の種子保存に向けた取り組み 江戸野菜東京通信(江戸東京・伝統野菜研究会代表大竹道茂ブログ)、2013年5月18日閲覧。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「大蔵大根」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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