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大西洋岸森林(たいせいようがんしんりん)は、ブラジルの大西洋岸の北部から南部にかけて分布する森林の総称であり、アマゾンと並ぶ有数の森林地帯である。現地ブラジルのポルトガル語ではマタ・アトランチカ "Mata Atlântica"と呼ばれる。 大西洋岸森林の地理的分布をみると、北東部では海岸沿いの幅狭い地域に限られているが、サンパウロ州などブラジルの南東部から南部にかけては内陸まで分布しており、その一部はパラグアイ、アルゼンチンにまで広がっている。大西洋岸森林は、熱帯雨林・常緑広葉樹林(Tropical and subtropical dry broadleaf forests)、ブラジル南部に分布する針葉樹のパラナ松アラウカリア林(Araucaria Forest)から構成される。なお、大西洋岸森林の範囲を、海岸沿いに分布する熱帯雨林のみに限定して使用する場合もあるが、一般にブラジルの環境保全団体や政府機関、マスメディアの論調では、湿潤林から季節林、パラナ松アラウカリア林の全ての森林を含んだものを指すことが多い。その一方、ポルトガル語でセハードとよばれるサバナのほか、マングローブやレスチンガ(海浜植物)は、関連した生態系として位置づけられ、通常、大西洋岸森林の範疇には含まれない。なお、半乾燥気候が卓越するブラジル北東部の内陸には、周囲よりも標高が高いために雨量が多く島状に森林が生育するブレジョ(Brejo)と呼ばれる場所があるが、これらブレジョの森林についても大西洋岸森林に含まれる。 大西洋岸森林は、もともと人間によって開発が始まる前、アマゾンの森林の約4分の1に相当する1億ヘクタール弱を覆っていたとされている。しかしながら1500年以降に始まるポルトガル人の植民地化を契機に森林は徐々に失われ始め、現在ではもとの7%弱しか残っていない。特に19世紀半ば以降、コーヒー栽培を目的に開拓が進むにつれて、森林は急速に失われていった。加えて、牧草地の造成、道路、ダム、都市建設、不動産開発などのあおりを受け、今日、森林が残っているのは、傾斜地や環境保全地域などに限られている。 面積的に見ればアマゾンの森林と比べて取るに足らないけれども生物多様性に富んでおり、とりわけ、遺伝子資源の宝庫としての役割に注目が集まっている。そういった事情を背景に、大西洋岸森林には自然遺産に登録された場所も存在している(コスタ・ド・デスコブリメントの大西洋岸森林保護区群、大西洋岸森林南東部の保護区群)。ゴールデンライオンタマリンなど絶滅危惧種が生息している。 == 参考文献 == * 池永啓介(2007)、大西洋岸森林(マタアトランチカ)500年の歴史、坂井正人、鈴木紀、松本栄次編、朝倉世界地理講座―大地と人間の物語ーラテンアメリカ、朝倉書店、324-333. * 斎藤功・松本栄次・矢ケ崎典隆編(1999)、ノルデステ―ブラジル北東部の風土と土地利用―、大明堂 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「大西洋岸森林」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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