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天王星の大気(Atmosphere of Uranus)は、木星や土星等の木星型惑星の大気と同様に、主に水素とヘリウムで構成されている。深部では、水、アンモニア、メタン等の揮発物が多い。上層はその反対で、温度が低いため、水素、ヘリウムより重い気体はほとんどない。天王星の大気は、太陽系の全ての惑星の中で最も冷たく、49Kにも達する。 天王星の大気は、主に3つの層に分けられる。高度-300kmから50kmで気圧100から0.1バールの対流圏、高度50kmから4000kmで気圧0.1から10-10バールの成層圏、高度4000kmから天王星の半径の数倍までに至る熱圏(外気圏)である。地球の大気とは異なり、天王星の大気には中間圏はない。 対流圏には、4つの雲の層がある。メタンの雲は約1.2バール、硫化水素とアンモニアの雲は3から10バール、硫化水素アンモニウムの雲が20から40バール、そして水の雲が50バール以下の高さにある。上2つの雲の層だけが直接観測可能である。雲の上には、光化学もやのいくつかの希薄な層がある。恐らく惑星内部の対流が遅いため、対流圏に個別の明るい雲は稀であるが、これらの雲の観測は、240m/sにも達する高速の帯状風の測定に使われている。 近接観測は1986年に惑星を通過したボイジャー2号によるデータしかなく、天王星の大気の詳細については判明していない部分も多い。 ==観測と探索== 天王星の内部にははっきりした固体の表面はないが、天王星の気体外層の最も外側部分(遠隔探査ができる領域)が大気と呼ばれる。遠隔探査は、気圧1バールの高度の約300km下まで可能であり、その高度の気圧は100バール、気温は320Kに相当する 。 天王星の大気の観測の歴史は長く、失敗と挫折の連続であった。天王星は比較的暗い天体で、角直径は4秒以下である 。プリズムを通した天王星の最初のスペクトルは、1869年と1871年にアンジェロ・セッキとウィリアム・ハギンズによって最初に観測され、いくつかの暗い帯が発見されたが、同定はできなかった。また、太陽のフラウンホーファー線も検出できず、この事実は後にノーマン・ロッキャーによって、天王星は太陽光を反射しているのではなく、自身で光を発していると解釈された。しかし1889年、天王星の紫外線スペクトル写真から太陽のフラウンホーファー線が観測され、天王星は光を反射して輝いていることが決定的に証明された。可視光スペクトル中の太い黒い帯の正体は、1940年代まで謎のまま残った。 天王星のスペクトルを解析する鍵は、1930年代にルーペルト・ヴィルトとヴェスト・スライファーによって発見された。彼らは、543、619、925、865、890 nmの暗い帯がメタンに属していることを発見した。これらは非常に弱く、長い光路長を必要とするため、それまで検出されなかった。これは、天王星の大気は、他の木星型惑星の大気と比べてかなり深い部分まで透明であることを意味した。1950年、ジェラルド・カイパーは、827nmの別の薄い暗い帯の存在に気付いたが、同定はできなかった。1952年、ゲルハルト・ヘルツブルクは、この帯が水素分子の弱い四極子の吸収線であることを示し、これが天王星で検出された2つ目の物質となった。1986年まで、メタンと水素の2つだけが天王星の大気の既知の気体であった。1967年から始まった遠赤外線スペクトル観測は、天王星の大気が継続的に太陽から受けたのとおおよそ同量の放射をしており、観測される温度を説明するのに内部の熱源は必要ないことが示している 。1986年のボイジャー2号による観測までは、特に顕著な特徴は観測されなかった。 1986年1月、ボイジャー2号が天王星から再接近時で10万7,100kmの地点を通過し、大気の最初の接近画像とスペクトルを提供した。これにより、天王星の大気は、主に水素とヘリウム、約2%のメタンから構成されていることが確認された。大気の透明度は高く、成層圏及び対流圏にもやはなく、限られた数の雲だけが観測された。 1990年代と2000年代には、ハッブル宇宙望遠鏡や補償光学を備える地上の望遠鏡(W・M・ケック天文台やNASA赤外線望遠鏡施設)が地球から天王星の雲を観測することを初めて可能とした。天王星の雲の追跡により、ボイジャー2号の観測データしかなかった天王星の風速の再測定が可能となり、天王星の大気のダイナミクスの研究も可能となった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「天王星の大気」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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