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子どもの貧困(こどものひんこん)とは、その国の貧困線(等価可処分所得の中央値の50%)以下の所得で暮らさない相対的貧困の17歳以下の子どもの存在及び生活状況を言う〔ユニセフ・イノチェンティ研究所 最新報告書発表 子どもの貧困削減を政策の優先課題に 2012年5月29日 〕〔厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況7貧困率の状況 2013年5月7日閲覧 〕。OECDや厚生労働省調査の貧困率には等価可処分所得の中央値の50%が使用されている。この50%という数値は絶対的なものではなく、40%や60%を用いる場合もあり、EUは公式の貧困基準のひとつに中央値の60%を使用している〔「子どもの貧困」p45 阿部彩 岩波新書〕。子どもの相対的貧困率については、発表主体、統計利用データ年次によって変動する。 == 子どもの貧困率 == ;経済協力開発機構公表 :2008年10月に「」で子どもの相対的貧困率を公表。2005年の日本の子どもの相対的貧困率は14%であった〔 OECD Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries table5.2. 2008年10月〕。世界的には、より母親が働いている国では子どもの貧困率が低く「労働は貧困を減らす」というデータも同報告書には掲載されている。2005年の日本の母親の就業率は52.7%で、24か国中の平均を下回っている〔 OECD Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries table5.8. 2008年10月〕。日本ではひとり親の相対的貧困率が高く、無職では60%で30か国中ワースト12位と中位であり、有業のひとり親の相対的貧困率については58%で諸外国中ワースト1位だった〔 OECD Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries table5.2. 2008年10月〕〔内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書(概要版)平成22年版 第26図 子どものいる世帯の相対的貧困率(2000年代中盤) 〕。2012年1月27日公表の2008年現在データでは、ひとり親無職の相対的貧困率は52.5%で、有業では54.6%と働いているほうが貧困率が高くなっている〔OECD Table C02.2.A Poverty rates for children and households with children, 2008 2012年1月27日 〕〔生活保護vs子どもの貧困P150 大山典宏 PHP新書 2013年11月〕。このため、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ合衆国大使(第29代)からは「日本は、仕事をすることが貧困率を下げることにならない唯一の国」と評されている〔ケネディ大使の「米国大使館2014 USJC-ACCJウィメン・イン・ビジネス・サミット」でのスピーチ2014年5月27日 〕。2009年には所得再分配後の子どもの相対的貧困率は15.7%となっている〔OECD 2013年5月23日閲覧〕。最新比較では子どもの相対的貧困率は33か国平均より高い〔OECD 「Crisis squeezes income and puts pressure on inequality and poverty」P7 2013年5月〕。内閣府は、OECDによる国際比較研究においては、日本に関するデータは「国民生活基礎調査」が用いられており、ジニ係数や再分配効果が大きくなりやすいことに注意が必要と指摘している〔内閣府 平成21年度 年次経済財政報告p245 2009年7月 〕。 ;ユニセフ公表 :日本を含む先進35ヶ国を対象に調査し、『Report Card 10-先進国の子どもの貧困(Measuring child poverty)』を2012年5月公表。日本の子どもの相対的貧困割合は、14.9%(約305万人)。35ヶ国の中で、相対的貧困率の高い方からから9番目にランクされている。ただし、貧困率を可処分所得の50%でなく40%や60%で試算した結果も掲載があり、その場合には貧困率及び国際順位が変動している〔ユニセフ・イノチェンティ研究所 最新報告書発表 子どもの貧困削減を政策の優先課題に 2012年5月29日 〕。 ;厚生労働省公表 :国民生活基礎調査の一環として実施。貧困率は、OECDの作成基準に基づいて算出している。平成24年(2012年)の「子どもの貧困率」(17歳以下)は 16.3%となっている〔厚生労働省 平成25年国民生活基礎調査の概況7貧困率の状況 2014年8月2日閲覧 〕。2012年度厚生労働省白書では、2000年代半ばまでのOECD 加盟国の相対的貧困率について日本が加盟国中大きい順から4位であったこと、うち子どもの貧困率は13.7%と30か国中ワースト12位である〔p107-108 厚生労働白書2012年度版 〕と記載されている。また、2003年以降のひとり親家庭の相対的貧困率は低減してきているが、子どもの貧困率はやや上昇傾向〔p173-174 厚生労働白書2012年度版 〕という状況にある。なお、都道府県別の統計は公表されていないが、各世帯から集められた個票は全て都道府県を通じて厚生労働省に報告される〔厚生労働省 国民生活基礎調査 調査の方法 2016年1月30日閲覧 〕ため、各府県で自地区の結果は把握が可能である、または厚生労働省から匿名データーの提供を受けること〔厚生労働省 匿名データの提供について 2016年1月30日閲覧 〕により都道府県レベルでは分析が可能である。 山形大の戸室健作准教授は「就業構造基本調査」のデータなどを分析し、都道府県別の「子どもの貧困率」を独自に算定した〔毎日新聞 <子育て貧困世帯>20年で倍 39都道府県で10%以上 2016 年2月18日 〕。日本財団においても都道府県別の率を独自算定し、公表した〔日本財団 「子どもの貧困の社会的損失推計」 都道府県別の推計レポートを公開 2016年3月4日 〕。 政府の貧困に関する統計「低消費水準世帯」の推計は、1965年を最後に打ち切られていた。その後長年にわたり貧困の定義と測定を持っていなかったとの指摘がある〔子どもの貧困 松本伊智朗著部分 明石書店 2008年4月〕。なお、政府統計うち相対的貧困率を算出している調査としては、総務省「全国消費実態調査」と厚生労働省「国民生活基礎調査」があり、調査対象、手法等が異なっている〔厚生労働省 相対的貧困率等に関する調査分析結果 内閣府 総務省 厚生労働省 平成27年12月18日 〕。 相対的貧困率については、貧困線より高い所得者は考慮しないため「格差」の問題ではなく、また国や地方団体の政策によって変動するため所得差があっても相対的貧困率は減らせないものではないとされている〔「子どもの貧困」p49-51 阿部彩 岩波新書 2008〕。 内閣府は平成21年度年次経済財政報告で「我が国の所得再分配は高齢者層に対してしか働いておらず、若年から中年といった現役世代においてはほとんど再分配が行われていないことが分かる。」「所得再分配の効果が高齢者に偏っていることとあわせ、所得再分配機能が働く範囲が限定的になっている可能性がある。」と言及している〔内閣府 平成21年度 年次経済財政報告p247-250 2009年7月 〕。現在の日本では、子どもの貧困増と教育支出が低下する一方で、年金や医療が手厚くなっているプレストン効果が現れている可能性がある。この効果は子どもの利益を代弁する「子を持つ親」よりも、高齢者の人口のほうが相対的に多いことと関係がある〔PRESIDENT 2012年5月14日号 プレストン効果 -消費税。笑う老人、泣く子ども 2012年4月29日 〕という。 『』(OECD)によれば、我が国の家族関係支出は対GDP 比0.75%であり、スウェーデン3.54%、フランス3.02%と比べると非常に少ない。また、社会保障給付費に占める割合を見ても、高齢者関係支出の46.7%に比べ家族関係支出は4.0%にすぎないという指摘もある〔格差と子どもの育ち~家庭の経済状況が与える影響~第三特別調査室 小林美津江 立法と調査 2009.11 No.298 〕。 一方で、oecd「図表でみる教育:OECD インディケータ」日本のカントリーノートでは、在学者1人当たりの公財政支出・私費負担はOECD平均を上回っているが、(公的・私的財源からの)教育支出の対GDP比は依然としてOECD平均を下回っているとされる。また、日本では2008年から2012年の間に初等教育から高等教育に対する公財政教育支出が増加したが、公財政支出総額がさらに大幅に増加したので、教育支出が公財政支出総額に占める割合は若干(3%)減少している。OECD加盟国平均で、初等教育機関から高等教育機関に至るまで教育機関に対する支出の83%が公財政支出で賄われている。日本は公財政教育支出の割合(70%)が最も低い国の一つであるが、これは主に高等教育の私費負担(高額の授業料)の割合が高いことによる(OECD加盟国平均30.3%に対し、日本は65.7%)〔OECD TOKYO 格差の削減と教育資金の確保が主要な課題 - Education at a Glance 2015年版2015年11月24日 〕と分析されている。 文部科学省によると、日本の公財政教育支出の対GDP比は、機関補助と個人補助を合わせて3.8%であり、データの存在するOECD加盟国の中で最下位となっている(2011年)。また、教育段階別で比較しても、全ての教育段階でOECD平均を下回り、特に、就学前教育段階と高等教育段階では、OECD加盟国の中で最下位となっている。在学者1人当たりの公財政教育支出の対1人当たりGDP比では、初等中等教育段階では他のOECD加盟国と同様の水準である一方、就学前教育段階と高等教育段階では、OECD加盟国の平均を下回る〔首相官邸 教育再生実行会議 第3分科会(第1回)配布資料 我が国の教育行財政について 平成26年10月15日 〕。 地方自治体で保護者負担を軽減することもあり、東京都杉並区では2億以上かけて、所得水準にかかわらず小学校教材費および中学校修学旅行経費の一部を助成している〔杉並26年度当初予算案 〕。 平成28年度より、大阪市では4月から、5歳児の教育費を所得制限なしで無料にする方針を固めた。まず、学校教育法で「学校」として扱われる幼稚園は、保育料を全額無料にする。一方、保育所は機能が「教育」と「養護」に分けられるため、幼稚園の保育料と比較して教育費とみなされる部分を無料化する。これにより、保育料は現行の5〜6割減となる計算である〔毎日新聞大阪夕刊 幼児教育無償化 重い財源 大阪市5歳児対象、年25億円負担 国、二の足「早く追いついて」 2016年2月5日 〕〔大阪市 平成28年度予算こども青少年局市長ヒアリング(市長査定)資料P3 2016年2月6日閲覧 〕。 阿部彩の子どもにおける政府移転の貧困削減に対する再分配効果分析によると、子どもの年齢別に貧困率(再分配後)を見ると、年齢が高いほど貧困率が上昇している。また、父・母親の学歴別分析では小・中卒の親を持つ子どもの貧困率が特に高くなっている〔阿部彩 貧困統計ホームページ 2015年9月8日 〕。 日本財団が2015年に行った試算では、子どもの貧困を放置した場合、わずか1学年(現在15歳の子ども(約120万人)のうち生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子ども(約18万人)) あたりでも経済損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加するという推計結果が得られた〔日本財団 「子どもの貧困」に関する経済的影響を推計経済的損失約2.9兆円、財政負担約1.1兆円増の可能性も 2015年12月1日 〕としている。 自治体別分析では、沖縄県内の子どもの貧困率が29.9%に上ることが2016年1月29日、都道府県で初めてとなる県の調査で分かった。2012年時点の全国平均16.3%の約2倍。子どもの3人に1人が貧困状態に置かれていることになる。ひとり親世帯の貧困率は58.9%で、全国を4.3ポイント上回った〔沖縄タイムス 沖縄 子の30%貧困全国の2倍 ひとり親世帯では59% 沖縄県初調査 2016年1月30日 〕。内閣府では沖縄子供の貧困緊急対策事業として平成28年度予算で10億円(補助率10/10)で3年間地域の実情を踏まえた対策に集中的に取り組むことを予定している〔内閣府 沖縄⼦供の貧困緊急対策事業 2016年1月30日閲覧 〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「子どもの貧困」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Child poverty 」があります。 スポンサード リンク
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