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実効線量(じっこうせんりょう、)とは、放射線被曝による個人の確率的影響(がん、遺伝的影響)のリスクの程度を表す線量概念である〔1990年のICRP勧告にてそれまで使用されていた「実効線量当量(effective dose equivalent)」に代わって用いられるようになった。 〕。各臓器の受けた放射線の等価線量にその臓器の組織荷重係数を掛けた値の総和量として定義される〔草間(1995)〕。単位はシーベルト(記号:Sv)が用いられる。 等価線量が各組織・臓器の局所的な被曝線量を表すための線量概念であるのに対して、実効線量は被曝の形態に関わらず個人の生物学的リスクの尺度となる線量概念である〔外部被曝と内部被曝の線量を足し算したり、全身被曝と部分被曝の線量を足し算することができるのが実効線量の特徴である。草間(1995) p.45〕。 == 概要 == 放射線障害の確率的影響のリスク(発生確率)は、放射線被曝を受けた人体の組織・臓器の等価線量だけでなく、その組織・臓器の種類に依存する〔例えば赤色骨髄と肝臓で同じ等価線量であっても、それぞれの臓器の放射線誘発ガンの生じる可能性は異なる。すなわち、同量の等価線量であっても、被曝を受けた部位によって、その人が抱える放射線による確率的影響(主にガン)の発生リスク(発生する確率)は異なってしまう。〕。そこで、等価線量のように吸収線量に放射線荷重係数を掛け合わせることで放射線の生物影響を平準化したのと同様に、各臓器の等価線量にその臓器に対応した組織荷重係数(tissue weighting factor)を掛け合わせて、すべての臓器について足し合わせたもの(臓器の違いによる放射線感受性の違いを平準化して一つにまとめた線量)を実効線量(effective dose)と呼ぶ。 実効線量を用いることにより、例えばラドンの吸引などによる肺だけの内部被曝と、宇宙線などからの全身被曝を足し合わせすることができるようになる。つまりは、内部被曝や外部被曝という異なる形式の被曝を、1つの値でその被曝の程度を表現できる点が特徴である〔草間(2007) p.24〕。 なお、組織荷重係数は、確率的影響(ガン及び遺伝的影響)に対する各臓器・組織の相対的な放射線感受性の程度を表したものであり、確定的影響についてはあまり考慮されていない〔放射線防護上は確定的影響の発生は0に抑えることが目標の一つであり、また日常的な被曝で確定的影響が問題となることは基本的に無い。 草間(2005) p.21 〕。したがって、実効線量で問題としているリスクとはあくまで確率的影響のリスクのみである〔すなわち、実効線量によって被曝状況が示されているのであれば、気にするべき放射線障害は原則ほぼ確率的影響(ガン及び遺伝的影響)だけである。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「実効線量」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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