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密教(みっきょう)とは、「秘密の教え」を意味し〔中村元、三枝充悳 『バウッダ』 小学館〈小学館ライブラリー〉、1996年 p.394〕、一般的には、大乗仏教の中の秘密教を指し〔『岩波 仏教辞典 第二版』 p.964〕、「秘密仏教」の略称とも言われる〔天台寺門宗のHP解説 〕。中国語圏では一般に「密宗」(ミイゾン)という〔この言葉は唐代の恵果阿闍梨以前に遡る用語であり、空海の著作の中にも見える。日本でも江戸時代には普通に使用されていた。一例として、明治18年に東京・宝泉寺発行の『大聖歓喜天順世随願記』には、こう書かれている - 「上品の供と云うは、浴油供と称して、この尊最極の秘法なり。此れは在家の者の修すべきにあらず、密宗の阿闍梨に請いて、其の供養を奉るべし」。また、大正年間から昭和の始めまで、真言宗京都大学で栂尾祥雲や小田慈舟が主幹を務めた機関紙の名は『密宗学報』といい、このことからも戦前までは日本でも「密宗」の名が使われていたことが分かる。〕。 ==概要== かつての日本では、密教といえば空海を開祖とする真言宗のいわゆる東密や、密教を導入した天台宗での台密を指したが、20世紀に入るまで、日本ではあまり知られなかった、インドやチベットにおける同種の仏教思想の存在が認知紹介されるに伴い、現代ではそれらも合わせて密教と総称するようになっている〔宮坂宥勝監修 『空海コレクション 1』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、p.412〕。そういった意味での広義の密教を、今日の仏教学では後期大乗仏教に分類し、「後期大乗」と呼称する。仏教学者の文献学的な密教研究では、松長有慶らを軸に、インド密教を発展段階に従って初期・中期・後期の三期に区分し、今日では日本密教や中国密教、チベット密教もこの枠組みに絡めて系統づけようとする考え方が主流とされている。江戸後期の日本で確立した分類である雑密・純密をそれぞれ大まかにインド密教の前期・中期に対応させることが多い。 真言宗においては、伝統的には、「密教」とは顕教と対比されるところの教えであるとされる〔立川武蔵 『聖なるもの 俗なるもの』 講談社〈講談社選書メチエ〉、pp.175-176〕。空海は『請来目録』や『弁顕密二教論』の中で、顕教と密教の二教を弁別し、「密蔵」の語を用いて密教の概念を説明した。インドの後期大乗仏教の教学(顕教)と後期密教とを継承したチベット仏教においても、大乗を波羅蜜乗(顕教)と真言乗(密教)とに分けるという形で顕密の教えが説かれている。密教の他の用語としては金剛乗(vajrayāna、ヴァジュラヤーナ)、真言乗(mantrayāna、マントラヤーナ)、秘密真言金剛乗などとも称される。 「金剛」という呼称は本来、降魔成道は金剛座で成されるという大乗仏教一般の通説から、密教成立以前にすでに用いられていた述語だが、『金剛頂経』系の密教が自らを「金剛乗」と称したことが金剛乗の始まりである。のちに、大乗 (mahāyāna : 菩薩乗)、小乗 (hīnayāna : 狭義の声聞乗・縁覚乗) と対比して第三の優れた教えであることを称揚して用いるケースも出現した〔何を以って優れているとするかはその教派によって異なり、小乗・大乗より上位に位置づける異例の教義解釈を持つ宗派もある。また、正しい儀式に則った灌頂と、その儀式のなかで小乗戒と呼ばれる三帰依戒、在家の五戒・八斎戒や、僧と呼ばれる出家のための沙弥戒・具足戒と、大乗戒に属する菩提心戒・十善戒や菩薩戒、密教の各種の三昧耶戒を必ず儀式の中で段階的に授かり、その上でそれらを守ることを忘れ、インド密教から中国密教や日本密教、あるいはチベット密教への先人たちの努力と文化の継承、伝統や戒律等々をないがしろにして、いわゆる奇跡や超能力を売り物にしてしまうような誤った解釈がオウム真理教の教義に影響を及ぼしたとみられる。〕。金剛乗は拡大解釈により密教の総称として扱われる場合もあり〔『岩波 仏教辞典 第二版』 p.351〕、欧米などでも文献中に仏教用語として登場する。チベット僧は顕教に対する自分たちの密教を、チベット語でガクルグ(真言流)とかサンガク(秘密真言)と呼称し、欧文脈ではその同義語としてサンスクリットの「ヴァジュラヤーナ」を用いることが多い。 英語では Esoteric buddhism とも呼ばれるが、欧米の研究者は密教全般、とりわけ9世紀以降の後期密教をタントラ仏教 (Tantric Buddhism) と呼ぶことが多い。これは、8世紀以後に成立した密教経典がスートラではなくタントラ〔原語で「スートラ」は縦糸を意味し、主に仏陀に帰着する仏典である「小乗経典」や「大乗経典」を指しており、「タントラ」は横糸を意味し儀軌類の総称であり、広く中期・後期の「密教経典」(秘密儀軌)を指している。どの経典を密教経典に分類するかは、日本密教、中国密教、チベット密教で差異があり、チベットでは『金光明経』等の大乗期の経典、『初会金剛頂経』のようなスートラと名づく中期密教の経典を含めて、密教経典である「タントラ」(チベット語で「ギュー」)と呼称する。〕と名づけられていることによる。また、欧米系の東洋学や宗教学において、殊に6世紀以降のインドの諸宗教に広く見られる特定の宗教文化・様式・傾向等をタントリズムとして括り、仏教の中の密教を「仏教のタントリズム」と捉えることにも関連している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「密教」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Vajrayana 」があります。 スポンサード リンク
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