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寺町三丁目十一番地(てらまちさんちょうめじゅういちばんち)は渡辺茂男の児童文学作品である。1969年に福音館書店から単行本が発刊され、1976年には講談社文庫から文庫版が発刊された。いずれも挿画は太田大八が手掛けている。 == 作品解説 == 巻頭に「父に捧ぐ」と献辞があるこの作品は、著者の故郷である静岡市を舞台にした自伝的な物語である。献辞に続いて「これは昭和十年ごろの福っつあん一家の物語です。」とあるように、昭和初期にかつての城下町である寺町三丁目〔かつて静岡市に実在していた町名だが、1945年に駿河町に編入され消滅した。〕十一番地で、写真屋「福地写真館」を経営していた「福っつあん」こと父・裕介を中心に、母・しげと八男三女の子供たち、住み込みのお手伝いと書生が暮らす日々が描かれている。また、昭和10年代が舞台となっている設定とは少々矛盾しているものの〔『日本児童文学100選』 p.249〕、1940年(昭和15年)1月15日に静岡市で実際に起こった静岡大火についても触れている。 福地家の大黒柱であり、天衣無縫な上に頑固一徹でありながらも気のいい裕介は昭和初期の良き父親像といえるキャラクターであり、大家族を支えるしげも懐かしさを感じさせるキャラクターである〔『日本児童文学100選』 p.248〕。そのような彼らと9人の子供たちとの交流の描写から、一世代前の時代の家族の結びつきの強さや重さを感じることのできる作品である〔『児童文学の世界 -作品案内と入門講座』 〕。 後年、著者はこの作品について「12人の子どもたちを厳しく育てながら内にやさしさを秘め、ときにはおさえきれない愛情を無骨に表現した」〔『心に緑の種をまく -絵本のたのしみ』 p.76〕父に対する追憶が書かせたものだと語っている。また、エレナー・エスティスの『元気なモファットきょうだい』で描かれたモファット家の物語が自身の子供時代と交叉し、小学校6年生になりきって心を弾ませながらこの作品を書いたとも語っている〔『心に緑の種をまく -絵本のたのしみ』 p.154〕。 なお、著者はこの作品で1969年に厚生大臣賞を、1970年にサンケイ児童出版文化賞を、1980年にモービル児童文化賞を受賞した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「寺町三丁目十一番地」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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