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行政対象暴力(ぎょうせいたいしょうぼうりょく)とは、暴力団その他の反社会的勢力、またはコンプライアンスを遵守せず人権感覚の欠如した企業・団体・個人等が、金銭や各種の利権その他の経済的利益を供与させるために、地方公共団体その他の行政機関又はその職員などを対象として、威力等を背景に違法又は不当な要求を行う行為一般のことで、対行政暴力(たいぎょうせいぼうりょく)、官対象暴力(かんたいしょうぼうりょく)とも称する。後者を縮めて官暴(かんぼう)と称する場合もある〔週刊プレイボーイ平成20年7月28日30号による。民事介入暴力の略語である「民暴」(みんぼう)をもじったもの。〕。 == 概説 == 大まかに言えば民事介入暴力の類型の一つであり、脅迫または強迫によって義務のないことを行わされる点では同一のものであると言える。大きく異なるのは、行政機関に対して金品の直接的な要求だけではなく便宜供与(行政指導あるいは許認可)を求めるケースが多い〔2003年(平成15年)警察白書には、行政が受けた不当な要求行為の形態として、行政指導等の要求が14.6%、許認可等の決定に関する要求が13.8%(複数回答)との調査結果があり、不適切な公権力の行使を促す要求が少なくないことが分かる。〕点にあり、その結果的、被害者たる行政機関(あるいは行政機関の職員)が不適切な公権力の行使により新たな不法行為を犯すおそれがある。その後さらに、このことを理由にしてさらなる不当要求をされるおそれもある。そのようなことが起これば、一般的に行政に求められる無謬性、効率性、公平性等が損なわれ、行政機関の統治機構としての正統性が低下することになる。 また、行政対象暴力は、民事介入暴力に比べて新たに発生した問題〔警察白書において「民事介入暴力」の語は1979年(昭和54年)から確認できるが、「行政対象暴力」の語は比較的最近の2000年(平成12年)から確認できる。1999年(平成11年)以前の警察白書において行政は主にフロント企業の公共事業からの排除に関して触れられている。〕〔首長や管理職員にいわゆる「事なかれ主義」が蔓延しており、結果として不当要求を受け入れ続けてきたこともこの問題の根底にある。〕であるため、比較的対策が遅れていたが、企業対象暴力への対応を参考とし、弁護士会等と連携して講習を行い、さらに、不当要求への組織的な対応を規定したコンプライアンス(法令遵守)条例や要綱を制定する動きが見られ〔平成18年警察白書第三章第二節 によると平成17年(2005年)末で87.9%の地方公共団体がコンプライアンス条例又は要綱を制定している〕、対策が進められている。また、行政対象暴力は暴力団だけが引き起こすとは限らない。団体・個人等もコンプライアンスの欠如、人権感覚のない者を中心として、これらの行為がなされる場合もある。 一般には暴力団などが実体のない政治団体(右翼標榜暴力団)などの肩書きを隠れ蓑に要求を通そうとするケースや、同和団体など市民運動や社会運動を標榜する者からの不当要求が多く、暴力団などについては基本的には暴力団対策法により対処が行われることになる。 暴力団ではない者の場合は暴対法での対応ができないので、コンプライアンスを遵守しながら、代理人である場合は基本権限の確認や、対応マニュアルに沿った慎重な対応を行う必要がある。ただし悪質な場合に対応するために、各行政機関では行政対象暴力の排除についてもマニュアル化されつつあり、監視カメラや録音機の設置された部屋で警備員同席のもとで応対したり、庁舎管理等に関する省令・訓令・条例等により訪問者に退去命令を出したりすることがある。さらに悪質な場合には、不退去罪などといった法令を適用し警察力で排除することもやむを得ないとする場合も多い。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「行政対象暴力」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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