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小泉小太郎(こいずみこたろう)は、長野県上小地域に伝わる民話。人間の父親と大蛇の母親との間に産まれた少年・小太郎にまつわる物語である。同じく長野県松本地域・大北地域には泉小太郎(いずみこたろう)という民話が伝わり、こちらは小太郎が自らの母親である竜と共に松本盆地を開拓する物語である。これらは内容こそ異なるものの関連が指摘されており、現代になってこれらを一つの物語に再編する試みがなされ、作家・松谷みよ子による創作『龍の子太郎』では物語の根幹を成す。 == 上小地域の小泉小太郎 == 小泉小太郎にまつわる民話の大要が1922年(大正11年)発行の『小県郡史 余篇』に収録されているので、以下に要約して紹介する〔『小県郡史 余篇』46 - 47ページ 。〕。 :西塩田村にある鉄城山の山頂に寺があり、そこへ毎晩のように通う一人の女性がいた。彼女がどこからやって来たのか分からず、不思議に思った寺の住職は、彼女の衣服に糸を付けた針を刺しておいた。翌朝、住職が糸をたどって行き着いた先は、川の上流にある鞍淵の洞窟であった。中をのぞくと、赤子を産もうと苦しむ大蛇の姿があった。住職は驚いて逃げ出し、出産を終えた大蛇も正体が知られたことを恥じて死んでしまう。 :赤子は小泉村の老婆に拾われ、小太郎という名前で育てられた。身長は小さいものの、たくましい体に成長した小太郎であったが、食べては遊んでばかりで仕事をしたことがない。14、5歳になった頃、老婆から仕事を手伝うよう促された小太郎は、小泉山へ薪を取りに出かけることにした。 :夕方、小太郎は萩の束を2つほど持ち帰った。これは山じゅうの萩を束ねたものだから、使うときは1本ずつ抜き取るようにして、決して結びを解いてはいけない、と小太郎は老婆に伝えたが、たった1日でそのようなことができるはずがないと思った老婆は結びを解いてしまう。すると、束がたちまち膨れあがり、家も老婆も押しつぶしてしまった。 補足として以下に何点か記す。 * 似たような伝承は日本の各地に見られ、それらの根幹は古事記にある三輪山伝説であると考えられている〔。 * 『小県郡史 余篇』によると、寺があるとされる鉄城山は殿城山またはデッチョウ山とも呼ばれ、その支峰が独鈷山であると記されている〔『小県郡史 余篇』24 - 25ページ 。〕。のちに再編された作品の中では独鈷山という名前に置き換えられている〔『日本の民話 1 信濃の民話』175 - 183ページ。〕。 * 産川という川の名前は、大蛇が赤子を産んだという逸話に由来する〔。また、産川の流域に散らばる沸石は蛇骨石と呼ばれ、それらは死んだ大蛇の遺骨であるという〔。 * 小泉山は、その山じゅうの萩を小太郎が刈り尽くしたため、以来1本も萩が生えなくなったという〔。とは言え、現代では萩の繁茂が見られるようである〔。 * 小太郎とその子孫は当地に永住したが、彼らの横腹には蛇紋のような斑点があるという〔。 * 松谷みよ子は塩田平を訪れた際に小泉小太郎の民話を耳にしている〔『講談社現代新書 370 民話の世界』37 - 38ページ。〕。内容は『小県郡史 余篇』にあるものとほぼ同じものであるが、小太郎を出産後に死んだ大蛇の死因は鉄の毒によるものであったという〔。松谷は小太郎に抱いた怠け者という印象から、物くさ太郎や三年寝太郎、厚狭の寝太郎といった物語を連想し、小太郎も将来大きな事をやってのけるのではないかと考えたが、当地の語り手からは松谷が期待する内容の逸話を得ることはできなかった〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「小泉小太郎伝説」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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