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『屋根裏の散歩者』(やねうらのさんぽしゃ)は、江戸川乱歩の短編小説。 == 概要 == 博文館の探偵小説雑誌『新青年』で、1925年(大正14年)の8月増刊号に掲載された。同年大正14年の6月〔乱歩『自作自註』「あの作この作楽屋噺」(昭和4年7月)〕に大阪府北河内郡守口町(現在の守口市)の自宅で執筆された作品である〔。 乱歩が鳥羽造船所に勤めていた頃、会社をサボって社員寮の押し入れに隠れて寝ていた経験と、守口町の自宅の屋根裏に侵入し徘徊した経験から着想を得た〔荒正人による解説 〕。 乱歩は本作について、「種切れで随分苦しんだ余りの作で、書き上げて了った時はペチャンコになってしまって、もう俺は駄目だと悲しんでいたのが、案外好評で、またいい気になって次の小説を書き出したという思出があります」と語っている。本作執筆当時、乱歩の父親が末期の喉頭癌に罹っており、三重県山中の行者祠を治癒嘆願にすがり、祠のそばの空家を買って夫妻で住み込んでいて、乱歩は時折この家に通って親の世話をしていた。執筆に詰まっていた乱歩は締め切り日にちょうどこの家に来ていて、古畳に腹ばいになって結末を書いた。「間に合わせなメチャメチャなものだった」と述懐している。 当初本作は、乱歩が温めていた「天井裏に潜んだ犯罪者が節穴から発砲して殺人を成功させる」という推理小説のトリックが原案となっている。が、論理的に無理があり、実用にならないと放置していたが、「種のない苦しまぎれに、あきらめ悪くネチネチと考えていたら、徐々に変形して結局『屋根裏』が出来上がった」という。この案と、自身が鳥羽造船所勤めだったころに会社をサボって押し入れに隠れ、天井裏の散歩を妄想していたことを結び合わせることで、乱歩は本作を書く気になった。大阪に住まいを移した乱歩は、自宅の屋根裏を実際に覗いてみて、その光景を半時間も楽しんだという。平林初之輔からは「自分の家の天井裏を歩き回って、その体験談を小説にした作家なんて、古今東西に例がないだろう」と、不思議な作家であることを強調されたといい、乱歩自身も「古い読者の記憶に残っている作品の一つだから、私の代表作の短編集には、いつも入れている」と語っている。「西洋の住居には屋根裏がないだろう」との判断で、乱歩は本作を英訳短編集には加えなかった。 本作で殺人手段として節穴から毒薬を垂らす手法が描かれるが、節穴と被害者の口とが垂直線上につながる状況の説明が難しく、これは乱歩も「困ったところ」と述懐しており、各方面から批難と助言を受けたという。また甲賀三郎からは作中の塩酸モルヒネの量では致死量に足りないと指摘を受けている〔『探偵小説講話』(昭和10年)〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「屋根裏の散歩者」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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