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山下 文男(やました ふみお、1924年 - 2011年12月13日)は、いわゆる「津波てんでんこ」を広めた日本の津波災害史研究家である。元日本共産党中央委員会文化部長。『津波ものがたり』で「日本自然災害学会賞」功績賞、「平成15年度防災功労者表彰」などを受賞。〔紀伊國屋BookWeb『津波てんでんこ―近代日本の津波史』著者紹介 〕 == 経歴・人物 == 岩手県気仙郡綾里村(現大船渡市三陸町綾里)出身。1896年の明治三陸津波で祖母ら親族3人を含む一族9人が溺死。1933年、9歳の時に昭和三陸津波に遭い、高台に登って難を逃れた。この時期の昭和東北大飢饉も体験している。 1967年の善隣学生会館事件について、「井上清の中傷に答える 厳然たる事実にもとづいて」を著し、歴史学者井上清による日本共産党と日中友好協会への批判に反論した〔赤旗、1967年5月4日〕。1970年代には日本共産党中央委員会文化部長を務め、民社党委員長春日一幸の発言に端を発した日本共産党スパイ査問事件の蒸し返しに対する批判や、日本共産党と創価学会との合意についての協定(共創協定;創共協定)締結などで重要な役割を果たした。のち同党名誉幹部会委員。 1986年以降、歴史地震研究会会員として著述と津波防災活動に従事。自らの体験を踏まえて近代日本の津波史を研究、『津波てんでんこ-近代日本の津波史』(新日本出版社)など多数の著作を通じて津波の恐ろしさを訴え続けた。津波の記憶を風化させまいと、学校などで体験を語る活動にも取り組んだ。 2011年3月11日の東日本大震災では、岩手県立高田病院に入院中に津波に襲われた。津波到来の放送が院内に叫び声が響く中、山下は「研究者として見届けたい」と4階の海側の病室でベッドに横になりながら海を見つめていた。過去の歴史でも陸前高田市は津波被害が少なく、4階の病室ならば安心と判断したためでもある。ところが、津波が轟音と共に病院3階にぶつかるとガラスを破り一気に4階に駆け上がってきた。逃げようにも腰が抜けて動けなくなり、津波に呑まれ、2m近く室内の水位が上がる中、カーテンにしがみつき、首だけをやっと出す状態だった。10分以上カーテンにしがみついた後、水が引き、一命を取り留めた。 翌12日に海上自衛隊によって救助され、花巻市の県立東和病院に移送された。 〔『岩手日報ウェブニュース』 2011年3月17日 〕 1886年に建てられ、暮らしていた綾里の自宅も津波で半壊した。 のちにインタビューで、「津波を甘く考えていた」との反省を口にした。 昭和三陸津波と比較し「今回ははるかに大きい。津波防災で検討すべき課題はたくさんある」と語った。特に、もろくも崩れた大船渡市の湾口防波堤について「海を汚染するだけで、いざというときに役に立たないことが証明された」と主張した。 また原子力発電所について「全面的には否定しない」「将来の日本のエネルギー問題を考えれば、何が何でもいけないと言うわけにはいかない」と、福島第一原発事故後の日本共産党の見解と異なる考えを表明した。また、自身がかつてかかわった共創協定について「あれはのどかな時代だったね」と述べたという〔佐野眞一「ルポ・大津波と日本人」第9回 、第10回 〕。また、同書の中で、自衛隊について、「僕はこれまでずっと自衛隊は憲法違反だと言い続けてきたが、今度ほど自衛隊を有り難いと思ったことはなかった。国として、国土防衛隊のような組織が必要だということがしみじみわかった。とにかく、僕の孫のような若い隊員が、僕の冷え切った身体をこの毛布で包んでくれたんだ。その上、身体までさすってくれた。やさしさが身にしみた。僕は泣いちゃったな。鬼の目に涙だよ。」とも語っている。 1991年『津波ものがたり』で「日本科学読物賞」「北の児童文学賞」、2000年「日本自然災害学会賞」功績賞、2003年「平成15年度防災功労者表彰」(内閣府、防災思想の普及)、2006年「岩手日報社文化賞」を受賞。〔紀伊國屋BookWeb『津波てんでんこ―近代日本の津波史』著者紹介 〕 2011年12月13日、肺炎のため盛岡市の病院で死去。87歳没。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「山下文男」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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