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甲州弁(こうしゅうべん)は山梨県で話される日本語の方言である。山梨県内でも御坂山地と大菩薩嶺を境に東西で大きく方言が異なっており、西側の国中地方では東海東山方言(ナヤシ方言)の一種が、東側の郡内地方では西関東方言の一種(郡内弁)が話されている。ここでは国中地方の方言(国中弁)を扱う。早川町奈良田では特殊な方言が用いられており、奈良田方言を参照されたい。 ==概要== 国中地方は富士川や諸街道によって駿河国との文化的共通性が強いため、「ずら」を使用するなど主な語彙が静岡弁とよく似ている。長野・山梨・静岡の方言をひっくるめてナヤシ方言とも言う。 江戸時代には享保9年(1724年)に甲府藩主・柳沢氏家臣の柳沢淇園が随筆『ひとりね』を記し、同書では甲斐の地誌情報とともに甲州弁の語彙50語余りが記録されている。また、嘉永3年(1850年)成立の宮本定正『甲斐廼手振』にも若干の甲州弁が記載されている〔石川(1995)、p.25〕。宮本定正は幕末期に江戸から甲府へ赴任した人物で、国立公文書館・内閣文庫「多聞櫓文書」の幕臣由緒書に記される「宮本久平」と同一人物であると考えられている〔石川(1995)、pp.25 - 32〕。宮本久平は弘化5年/嘉永元年11月23日に甲府学問所・徽典館(きてんかん)の学頭を命じられ、10ヶ月余り甲府に滞在している〔石川(1995)、p.32〕。『甲斐廼手振』は『甲斐志料集成』『甲斐叢書』において翻刻されており、両者とも同じ東京大学総合図書館所蔵「南葵文庫」に収録されている。「南葵文庫」本は伝来は不明であるが、誤記が散見されることから宮本定正の自筆本ではないと考えられており、56語余りの甲州弁が記載されている〔石川(1995)、p.32〕。 明治期には三田村鳶魚の「甲斐方言考」『風俗画報』や自治体史により山梨県の方言に関する語彙の紹介が行われている。戦後には、1939年(昭和14年)に発足した山梨郷土研究会や昭和30年代の山梨方言研究会、1986年(昭和61年)に発足した「山梨ことばの会」が中心となって学術的研究がスタートし、特に独自の方言として知られる奈良田の方言に関する研究は全国的にも注目された。また、北杜市の大泉村図書館は金田一春彦旧蔵の方言資料を収蔵している。 甲州弁ラップ「だっちもねーこんいっちょし」(「くだらないこと言うな」の意)がCD化され発売されたこともある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「甲州弁」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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