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『岬にての物語』(みさきにてのものがたり)は、三島由紀夫の短編小説。11歳の夏に母と妹と行った房総半島の鷺浦という海岸での思い出を、一人称「私」によって夢想的に回想し物語られる作品である。この短編を書いている最中、三島は1945年(昭和20年)8月15日の敗戦を迎えた。舞台となっている房総半島の避暑地は、三島が1937年(昭和12年)の夏、12歳の時に母と妹と弟と訪れた千葉県夷隅郡興津町大字鵜原(現:勝浦市鵜原)である〔『決定版 三島由紀夫全集第42巻・年譜・書誌』(新潮社、2005年)〕。 1946年(昭和21年)、文芸雑誌『群像』11月号に掲載され、翌年1947年(昭和22年)11月20日に桜井書店より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。1968年(昭和43年)11月には、三島の名指しにより蕗谷虹児の装幀で豪華限定版も刊行された。翻訳版は1999年(平成11年)にイタリア(伊題:Storia di un promontorio)で行われている。 == 三島由紀夫と蕗谷虹児== 『岬にての物語』は、三島の死の2年前の1968年(昭和43年)に、豪華限定版として再刊行されたが、その際の装幀として、出版社の川島勝は初山滋の「抽象的な色感あふれる絵」を頭の中に描いていたが、三島は、装幀を蕗谷虹児にしたいと要望した〔川島勝「三島由紀夫の豪華本」(『決定版 三島由紀夫全集第9巻・長編9』付録・月報)(新潮社、2001年)〕。高畠華宵や加藤まさを風な少女像も魅力だが、蕗谷虹児の「様式美」の方が『岬にての物語』にふさわしいというのが三島の意見だったという〔。 三島の名指しの依頼に蕗谷虹児は喜び、その蕗谷邸訪問の時にもらった色紙から、初めて蕗谷虹児が『花嫁人形』を作詞したと知った川島勝は、三島がそれを知っていて、あえてこの画家を選んだのだろうかと思い〔、三島がこの装幀に蕗谷虹児の少女像を選んだことに、「妹(美津子)の死と失恋(三谷信の妹・邦子)と三島自身の青春への訣別が色濃く反映されていた」としている〔〔川島勝の妻は、三島の妹・美津子と女学校時代の同窓だったという。〕 三島は蕗谷虹児について、その作品を「幼ないころから親しんで来たもの」とし〔三島由紀夫「蕗谷虹児氏の少女像」(限定版『岬にての物語』)(牧羊社、1968年) 〕、限定版『岬にての物語』の装幀画を以下のように語っている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「岬にての物語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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