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『岸辺の旅』(きしべのたび)は、湯本香樹実の小説。2009年9月号の『文學界』に掲載され、2010年に文藝春秋から単行本が出版され、2012年には文庫化された。 2015年に映画化された(後述)。 == あらすじ == 夫である優介が失踪してのち、瑞希はピアノ教師をわずかに続けることで世間との接触を保っていた。そんな彼女の前に、ある日突然に優介が現われる。口調も態度も往時と変わらない彼に、すでに死んだ身だと説明され混乱する瑞希だが、思い出の地をめぐる旅に出ようと持ち掛けられ、そのことばに従う。 電車に乗って辿り着いた街で、ふたりは新聞配達業に携わる老人、島影の店を訪ねる。過去に彼の下で働いていた優介とは話もはずみ、家事の助け手として瑞希の存在にも馴染み始めた島影だったが、ある日消え失せてしまう。島影もまた死者であり、優介のことばで迷いを振り切ってあの世に旅立ったのだ。 さらにふたりは夫婦の経営する食堂の扉をくぐる。店の手伝いをする毎日のなか、瑞希は2階に残されたピアノを見つけ、それをめぐる妻フジエと死別した妹との思い出を聞かされる。現われた妹と対面し、生前弾けなかったピアノの演奏を通じて彼女の微笑を引き出せた瑞希は、この旅の意味を少しずつ悟ってゆく。 だが、優介に宛てた一通の手紙をめぐってふたりは口論になり、瑞希は優介と接触をもっていた女、朋子にひとりで逢いにゆくことを決める。勤務先で朋子を呼び話をはじめた瑞希は、朋子の毅然とした態度を通じて自己嫌悪に打ちのめされ、消えてしまった優介の名を後悔をもって呼ぶ。変わりない姿を見せた優介を抱きしめる瑞希は、最後まで彼の旅につきあう決心を固めていた。 山奥の農村へ向かい、そこの人々に向けて夫が私塾を開いていたことを知った瑞希は、働き手であったタカシを失った妻とその父、息子に出会う。彼らの思いに呼び寄せられたタカシの、この世への妄執を見せつけられたふたりは己を振り返るとともに、この旅のすえに別れねばならないことを思い知らされた。そして彼らは、旅の終わりの場所にやって来た。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「岸辺の旅」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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