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巨大波(きょだいは)とは、海洋〔広い湖沼でも発生する可能性があるが、ここでは海洋として記述する。〕で発生する波のうち波の高さ(波高)が特に大きい特殊な波のことである。 一般に海洋の波の高さは有義波高によって表される。有義波高とは、不規則な海の波の波高を大きいほうから並べ替えて上位1/3の平均値である〔気象庁 波浪の知識「有義波、有義波高」 〕。天気予報で予報される波の高さはこの有義波高である。不規則な海の波では有義波高よりも大きな波も多く存在するが、一般には有義波高に比べて数倍にも達するような波の発生頻度は非常に低い。不規則な波の中には波高が極端に大きな波も存在し、これらのことを巨大波と呼ぶ。 巨大波はその発生を予測することも回避することも難しいとされ、しばしば海難事故の原因となる。 == 種類 == === 一発大波(フリークウェーブ) === 通常、不規則な海洋の波の中には有義波高よりも高い波が含まれている。10波に1波は有義波高の1.3倍、100波に1波は1.6倍、1000波に1波は2倍に達すると言われる。この経験則を拡張すれば、数千あるいは数万波に1波は有義波高の数倍となることが考えられる。これは一発大波(いっぱつおおなみ)もしくは"フリークウェーブ"(Freak Wave)と呼ばれるものである〔気象庁や水産の分野では一発大波が使われるが、工学の分野ではフリークウェーブが一般的である。一発大波にははっきりした定義はないが、フリークウェーブは有義波高の2倍を超える波として定義されている。〕。 一発大波の研究は1990年代初頭より注目され、主に北海での観測例が報告された。その後、日本を始めに各地での観測例が見られるようになった。 海洋には様々な周期や位相を持った波が存在し、それらが互いに相殺されるので、通常は巨大波が誕生することはない。しかし偶然にも多くの波の周期や位相が重なると、通常では考えられないような波高の波が生じる。 右図は異なる周期の波成分の重ね合わせによる一発大波の模式図である。上図は10の異なる周期を持つsin関数を重ね合わせたものである(細い線が各三角関数、太い黒線が合成関数)。このように、海洋では多くの周期を持つ波が重なり合っているものの、巨大な波の発生は抑えられる(上図では太い黒線で表される有義波高は4~5に相当する)。いっぽう、下図も10の異なる周期を持つsin関数の重ねあわせであるが、図の中央付近で各sin関数の山が一致したために、波高12以上の巨大波が誕生している。右図は模式的に、振幅2の波を10重ね合わせた様子を示したが、海洋にはさらに多くの周期・振幅を持つ波が存在するため、下図のようにそれらが一致する可能性は決して大きくないがゼロとは言えない。 異なる周期の波成分の重ね合わせについては、単純に線形に重ね合わせで表現される場合(線形波)と海の波が持つ非線形性による非線形重ね合わせ(非線形波)で表現される場合がある。線形波の波高の出現分布はレイリー分布で表現され、有義波高の2倍を超える波の出現確率は約3000波に1回となる。 一方、非線形波の場合は波の持つ非線形性に依存し、レイリー分布より出現頻度が高い場合と低い場合の両者がある。非線形性による一発大波の出現確率の高まりは、主に大水深域で生じ、水深が浅くなると逆に抑制されることがわかっている。 一般に、一発大波は時間的にも空間的にも非定常であり、その予測は非常に難しい。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「巨大波」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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