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後獣下綱(こうじゅうかこう、)は、哺乳類の分類群(タクソン)のひとつで下綱の階級にあるもの。カンガルーなどの有袋類が含まれる。 ==進化史== 後獣下綱及び姉妹群である真獣下綱(有胎盤類)は、いわゆる獣亜綱としてまとめられている。このグループは臼歯の形態(後述)から「北楔歯類」とも呼ばれる〔『絶滅哺乳類図鑑』 44頁〕。この獣亜綱は、かつて「汎獣目」と呼ばれた岐獣類を祖としている〔。かれらは中生代ジュラ紀末 - 白亜紀前期の北半球に現れ、繁栄する恐竜の足元で進化を重ねていた。 後獣類のグループの中で最初期に現れたのは、シノデルフィス〔『絶滅哺乳類図鑑』 51頁〕及びデルタテリディウムなどであるが、これらはアジア産であった。おそらくは初期後獣類はアジアに現れ、白亜紀後期にかけて北アメリカ大陸などに分布をひろげたと推測される〔。現生の有袋類(上目)は北アメリカに到達したグループが起源であるとされる。北アメリカに現れた属としては、現生のオポッサムに似たアルファドンなどが挙げられる〔『哺乳類の進化』 127頁〕。そして白亜紀末、一時的に地続きとなった南アメリカ大陸へと分布を拡げている。このとき共に南アメリカに渡った哺乳類としては、祖先的な形態を持った有蹄類である、「顆節目」と呼ばれる一群である〔『絶滅哺乳類図鑑』 50頁〕。これらは後に午蹄中目と呼ばれる、南アメリカ特有の有蹄類の祖となったと推測される〔『絶滅哺乳類図鑑』 227頁〕。 白亜紀最末期、K-T境界の大量絶滅において哺乳類も多数絶滅しているが、後獣類も例外ではなく、多くのグループが絶滅している。新生代まで生き延びた有袋類は、各地で真獣類と競合することになる。ドイツ、メッセル採掘場からは多数の哺乳類の化石が見つかっているが、有袋類はペラデクテスなど僅か2種のみであった〔『恐竜絶滅』 198頁〕。当時の生物相の中で、有袋類は少数派であったことがうかがわれる。北半球の有袋類は次第に生態系の片隅に追いやられ、絶滅していく。 南アメリカに到達していたグループは、午蹄中目や元々南アメリカにいたとされる異節上目(アルマジロ、アリクイなど)〔とともに、他とは隔離された島大陸の中で独特の哺乳類相を構成することになる。暁新世初期には5つの科が存在しており、マユレステスのような捕食者も現れている〔。漸新世前期、はるか東方のアフリカ大陸から渡来したと推定されるテンジクネズミ科(モルモットなど、ネズミ目)及び広鼻下目(新世界ザル、サル目)が現れ、南アメリカ在来の哺乳類たちは次第に圧迫を受けることになる〔。しかし、有袋類はボルヒエナやティラコスミルスなど大型の捕食者を輩出するなど、その地位を維持していた。特にティラコスミルスは、同時代に現れたマカイロドゥスなどのサーベルタイガーと酷似した、サーベル状犬歯を持った頂点捕食者であった。 そして中新世末 - 鮮新世に至ってパナマ地峡が形成されると、北アメリカ大陸から多数の真獣類が南下してくることになる。有袋類を含む古くからの南アメリカの哺乳類は、北からの真獣類との生存競争に敗れ、多数が絶滅している。現在新大陸に残っている有袋類は、オポッサム目及びチロエオポッサムのみである。しかしこれらは真獣類と競合しつつも、北アメリカ大陸まで分布域を拡大している。 一方、南アメリカから南極大陸経由でオーストラリア大陸へと渡ったグループも存在する〔。暁新世後期 - 漸新世初期南アメリカに生息したポリドロプス属 が南極からも発見されたのである〔『有袋類の道』 187頁〕。この時代は、両大陸の間ではある程度生物の交流が保たれていたと推定されている。まだ温暖であった南極に達したかれらは、そこを経由してオーストラリアへと渡ったとされる。オーストラリアに到達したグループはオーストラリア有袋大目として括られるが、南アメリカに現在も分布するチロエオポッサムもこの中に含まれる。この地には、北楔歯類と酷似した臼歯を持っていた(ただし、起源は異なる)南楔歯類の子孫〔『絶滅哺乳類図鑑』 34頁〕であるカモノハシ目(単孔類)が生息していた。当時の単孔類は様々なニッチに適応し、様々な種が存在していた〔『動物の起源と進化』 18頁〕。しかし、新たに現れた有袋類との競争に敗れ、半水生のもののみが生き延びることができた〔。その末裔が、カモノハシ及びハリモグラである。また、この地に真獣類も進出を果たしているが、このグループも後獣類に敗れ、子孫を残していない。以降、海で他の大陸から隔絶されているオーストラリア区(オースタラリア及びニュージーランド)には、約5万年前にヒトが到達するまでは、東南アジアからと推測されるネズミ科やコウモリしか真獣類は現れなかった。そのため有袋類は多様なニッチに適応し、多種多様な種を生み出している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「後獣下綱」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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