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循環論法(circular reasoning, circular argument、vicious circle〔『世界大百科事典』平凡社、1988、第13巻「循環論法」〕)とは、 * ある命題の証明において、その命題を仮定した議論を用いること〔。証明すべき結論を前提として用いる論法〔大辞泉〕。 * ある用語の定義を与える表現の中にその用語自体が本質的に登場していること〔。 == 概説 == 単に循環論法と言っても、証明における循環論法と、定義における循環論法がある〔とされている。 証明における循環論法とは、ある命題の証明において、その命題自体を仮定した議論を用いることである〔。つまり循環論法においては論証されるべきことが論証の根拠とされる誤謬が犯される。どのような形式かと言うと、今、命題をPと表すとして、P1, P2… Pn(nは自然数)がある時に、P1を証明するのにP2を用い、P2を証明するのにP3を用い、といったように証明を進めて、Pnを証明するのに(証明したと思いつつ)P1を使ってしまうような形式、論の進め方のことである〔。右の図で言えば、Aの根拠としてBを用い、Bの根拠としてCを用い、と進んでゆき、Eの根拠としてAを用いた段階で循環論法になってしまっている。循環論法では命題自体の絶対的な説明が一切行われないため、何の論証も行なわない場合と同じことになる。従って、説明からは何の結論も得ることが出来ない。 ひとつの文章の中に循環論法が含まれている場合や、循環の鎖の個数が2 - 3個程度であると比較的容易に発見できるが、数百ページにもおよぶ書物にそれが埋め込まれて巨大な循環を作っていてそれがあるページにおさまっていなかったり、鎖の個数が多かったりすると、なかなか発見できないことがある。 ただし、説明の連鎖をマクロに見ると循環はもともと避け得ない。説明の連鎖のとり得る形としては、無限後退に陥るか、何ら説明も根拠付けもされないドグマで終了するか、また全体として循環する構造を持つか以外、とり得る形はないだろうと考えられている。このことはミュンヒハウゼンのトリレンマと呼ばれている。 定義における循環論法とは、ある事柄の定義を与える文や表現の中に、その事柄自体が本質的に登場していることを言う〔。その形式とは、今、事柄をWと表すとし、W1, W2… Wnがあり、W1の定義する文(表現)の中に W2が現れ、W2の定義する文(表現)の中に W3が現れ、Wnを定義する文の中にW1が現れるような形式、構造である〔。簡単な例を示せば「西とは東と反対の方角である」と定義しておき、かつ東について定義するとき「東とは西と反対の方角である」と定義する。すると定義が循環する。定義が循環した場合は定義文のみの知識では定義する事柄の絶対的な理解が出来ないため、定義は不成立となる。 有限の語彙の集合を用いて語彙全体を解説しようとする辞書や百科事典は、その構造上、定義されていない語を用いて定義を行うか、循環を含んだ定義を行うことが避け得ない。ここで挙げた東西の例のような循環の輪が狭い場合は既知の事柄が少なくなり有用ではないが、全体として循環の輪が大きければ、既知の事柄が多くなり有用となる。このように、循環の輪の中に既知の事柄が1つ以上あれば循環定義であっても有用となりうる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「循環論法」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Virtuous circle and vicious circle 」があります。 スポンサード リンク
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