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『心の旅路』(こころのたびじ、原題: ''Random Harvest'')は、1941年に出版されたジェームズ・ヒルトン作の小説である。この小説は『失われた地平線』、『チップス先生さようなら』などのヒルトンの先行作品と同様にポピュラーになり、その年のニューヨーク・タイムズベストセラー小説リストの2位になった。 この小説は、1942年にマーヴィン・ルロイ監督の同名の映画となり成功を収めた。映画は幾つかの点で小説と異なっている。アカデミー賞の幾つかの部門にノミネートされている。 == あらすじ == 第一次世界大戦の終わり頃(1917年)、フランス戦線で傷ついた英国陸軍大尉がメルベリー市の陸軍精神病院に入院する。彼は、砲撃を受けたショックで完全な記憶喪失になっていた。名前も家も分からないという状態である。在る時、散歩に出た大尉は、戦争終結で喜ぶ群衆を避けて街角の煙草屋へ入るが、そこで親切な踊り子ポーラ・リッジウェイと知り合う。彼女は大尉の境遇に同情している内に、深い恋に陥る。 二人は逃げるようにメルベリーを去り、親切な牧師の協力を得て結婚式を挙げ、人里離れたリバプール郊外の一軒家に住む。門扉がきしみ、桜の木が玄関の前にある落ち着いた家だ。すぐ傍に小川が流れている。大尉の仮の名をジョン・スミスとして届け出て、ポーラは彼を「スミシー」と愛称した。 あっという間に楽しい日々が経過し、3年目に息子が生まれ、スミシーは嬉しさに溢れていた。そこへ、リバプールの新聞社から採用通知が届き、スミシーは浮き浮きとリバプール市内へ出掛けて行く。数日間は、市内に泊まって打ち合わせなどすることになるだろう。 好事魔多し、ホテルから出たスミシーは街路で車にはねられ、頭を強く打つ。親切な薬局で介抱され、スミシーは自分の名前がチャールズ・レイニアである事を思い出した。だが、今度はポーラのことを始め生活全てが消え去って、何故今自分が今リバプールにいるのか分からない。つまり、彼は記憶が戻ると共に入れ違いにフランス戦線から帰国して以来の3年間の記憶を全て忘れてしまった。ただ、ポケットにある鍵が何故か気になった。 さて、チャールズの父、レイニア氏は富豪で実業家であり、彼はその次男であった。故郷へ戻ったチャールズは、数日前に父が亡くなったことを知る。父の会社を引き継いで成功させながら、人柄と共に経営感覚の優れたチャールズは著名な実業人としての地位を獲得して行く。 ポーラは、スミシーがリバプールで行方不明になったことから気落ちして病を得、同時に大切な息子も失う。今更踊り子に戻ることも出来ず、ウェイトレスをしながら生活費を稼ぎ、夜間学校で速記を習う。そしてある会社の秘書をしている時、新聞に若き実業家チャールズ・レイニア氏の写真が掲載されているのを見て驚く。これは「スミシー」ではないか! チャールズが秘書を募集しているのを知って、ポーラはマーガレットと名前を変え彼の秘書に採用される。チャールズは、マーガレットを見ても何の感情も示さない。彼女は悲しみに打ちひしがれるけれども、その内チャールズが必ず思い出すであろう事を期待し、気を取り直して熱心に秘書業務に励む。 気性の激しい姪キティとの結婚話が起きるが、式が押し迫る中、キティはチャールズの心の奥底にあるものを鋭く感じ取り、彼女は潔くこれを破談にする。それが切っ掛けとなって、チャールズは自分の心底に横たわる3年間の記憶喪失を何とか捉えようとして、記憶が戻った街リバプールへ出掛けるが、ホテルが保管していた自分の古トランクを見ても何も思い出すことが出来ない。 チャールズは、求められて国会議員になるのだが、その役職を果たす上で信頼する秘書マーガレット(つまりポーラ)に形式上の妻になってくれと頼む。マーガレットは悩んだが、彼を愛する気持ちは変わらないので、それを引き受ける。二人は、見かけ上幸せな国会議員夫妻として益々著名になるが、両者共に心には満たされないものが残っている。 在る時、マーガレットは孤独に耐え切れず、チャールズへ南米旅行に行かせてくれと頼む。彼は、訝りながらもリバプール行きの汽車まで彼女を送る。船は2日後にリバプールから出帆するのだ。丁度メルベリー市の事業所でストライキが発生、オーナーのチャールズが乗り込んで、これを円満に解決する。 人々が喜ぶ喧騒の中を歩いていたチャールズは、初めて訪れたにもかかわらず街角に煙草屋のあることを知っていて、そこへ入る。続いて、陸軍精神病院にいたことを次第に思い出し、親切なポーラのことがおぼろげながら心に浮かんでくる。矢も盾もたまらず、彼はそのままリバプールへ出掛け、ホテルで牧師のことや郊外の一軒家の位置を問い合わせ、そこへ出掛けていく。 マーガレットは、ホテルから出て乗船しようとしていた。その時、ホテルのフロントが何気なく「少し前、ある紳士が昔のことを色々と問い合わせた」と語る。ええ、引退された牧師さん、それに小さなお家のことですよ。マーガレットは、何も言わずに昔の懐かしい住処へ急ぐのであった。 一方、チャールズは、訝りながらも一軒家の前に立ち、きしむ門扉を開け、懐かしい桜の木の下を通り、玄関のドアの前に立つ。そして、肌身離さず持っていた鍵を取り出して、ドアに差し込む。ぴたりと鍵は合って、昔住んだままの居間が彼を迎えてくれた。 ドアを開けて佇むチャールズに、マーガレットは門柵から「スミシー!」と優しく呼びかける。今や記憶が完全に甦ったチャールズはその声に振り返り、マーガレットを見るや「ポーラ!」と叫んで駆け寄るのであった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「心の旅路」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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