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『般若心経』(はんにゃしんぎょう)、正式名称『般若波羅蜜多心経』(はんにゃはらみったしんぎょう、、, プラジュニャーパーラミター・フリダヤ)は、大乗仏教の空・般若思想を説いた般若経の1つとも〔福井文雅は、本経の核心部は心呪の効能を説く後半部と心呪自体であると主張している。(「般若心経の核心」 早稲田大学東洋哲学会『東洋の思想と宗教』4号 1987年 )〕される経典。 大正新脩大蔵経に収録されている、玄奘三蔵訳とされる経題名は『般若波羅蜜多心経』であるが、一般的には『般若心経』と略称で呼ばれることが多い。『般若心経』をさらに省略して『心経』(しんぎょう)と呼ばれる場合もある。各宗派において用いる場合には、頭部に「仏説」(仏(釈迦)の説いた教え)や「摩訶」(偉大な)の接頭辞をつけて『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』(ぶっせつまかはんにゃはらみったしんぎょう)や『摩訶般若波羅蜜多心経』(まかはんにゃはらみったしんぎょう)とも表記される。現存する最古の漢訳文とされる弘福寺(長安)の『集王聖教序碑』に彫られたものでは、冒頭(題名部分)は『般若波羅蜜多心経』だが、末尾(結びに再度題名を記す部分)では『般若多心経』(はんにゃたしんぎょう)と略されている。なお、漢訳の題名には「経」が付されているが、サンスクリット典籍の題名は「Prajñā(般若)-pāramitā(波羅蜜多)-hṛdaya(心)」であり、「経」に相当する「sutra(スートラ)」または「sutta(スッタ)」の字句はない。 僅か300字足らずの本文に大乗仏教の心髄が説かれているとされ、複数の宗派において読誦経典の一つとして広く用いられている。 == 概要 == 『般若心経』は一般には600巻に及ぶ『大般若波羅蜜多経』の心髄を収むといわれているが、『大般若波羅蜜多経』(『大般若経』)及び『摩訶般若波羅蜜経』(『大品般若経』)からの抜粋に『陀羅尼集経』(7世紀頃)に収録されている陀羅尼(梵:dhāranī、呪文の一種)を末尾に付加したものである。般若経典群のテーマを「空」の1字に集約して、その重要性を説いて悟りの成就を讃える体裁をとりながら、末尾に付加した陀羅尼によって呪術的な側面が特に強調されている。 現在までに漢訳、サンスクリットともに大本、小本の2系統のテキストが残存している。大本は小本の前後に序と結びの部分を加筆したもの〔金岡1973〕ともいわれている。現在最も流布しているのは玄奘三蔵訳とされる小本系の漢訳であり、『般若心経』といえばこれを指すことが多い。 『般若心経』の「心」とは、サンスクリット「hṛdaya」(フリダヤ、心臓、重要な物を意味する)の訳語であり、同時に呪(陀羅尼、真言)をも意味する語でもある。そのため、一般的には般若心経は空を説く経典であるとされる一方、これを否定して陀羅尼の経典であるともいわれている。〔弘法大師空海が「般若心経秘鍵」で唱えた説で、宮坂宥洪によれば現代のサンスクリット研究の立場から言っても首肯できる説であるという。宮坂2004〕一般に般若経典には、後期の密教化したものは別として、呪文などは含まれていない。それを考慮すると、『般若心経』は、般若経典としては特異なものと言える。 また『大般若波羅蜜多経』(大般若経)には、第二分功德品第三十二に「般若波羅蜜多」が大明咒(偉大な呪文)云々であると説かれているが、『般若心経』では、付加された『陀羅尼集経』の陀羅尼への経過部分に「般若波羅蜜多咒」という語句が挿入されている。 陀羅尼はサンスクリットの正規の表現ではない上、色々な解釈が可能であるため定説はない。〔宮坂2004〕仏教学者の渡辺照宏説、中村元説、宮坂宥洪説など、異なる解釈説を行っている。 1992年アメリカのジャン・ナティエ(Jan Nattier、当時インディアナ大学準教授)により、鳩摩羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』などに基づき、玄奘が『般若心経』をまとめ、それを更にサンスクリット訳したという偽経説が提起されている。〔工藤順之・吹田隆道訳 「般若心経は中国偽経か?」『財団法人三康文化研究所年報』第37号、2006年。"The Heart Sutra: A Chinese Apocryphal Text?", Journal of the International Association of Buddhist Studies, vol. 15, no. 2 (1992), 153-223.〕 これには反論もあるが、いずれも定説とはなっていない。〔原田和宗(当時龍谷大学非常勤講師)「梵文『小本・般若心経』和訳」『密教文化』Vol.2002 (2002) No.209 P L17-L62 ; 及び原田和宗 『「般若心経」の成立史論 大乗仏教と密教の交差路』 大蔵出版、2010年〕〔福井文雅「般若心経の研究史--現今の問題点」『佛教學』第36号、1994年12月、J14-36-5〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「般若心経」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Heart Sutra 」があります。 スポンサード リンク
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