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『情熱の巡礼者』(じょうねつのじゅんれいしゃ、''The Passionate Pilgrim'')は、1599年に刊行された詩集である〔1599年の版はおそらく第2版であり、これ以前に初版と推定されている版が存在するが、タイトルページなどを欠落させた形でしか現存していないため、刊行年は不明である。〕。タイトルページには"By W. Shakespeare"と書かれており、シェイクスピアの作品であることを謳っている。 == 内容 == 収録されている20の詩篇のうち、実際にシェイクスピアの作品であることが確認されているのは5篇だけである。1番と2番はそれぞれ『ソネット集』(1609年刊〔1609年刊の『ソネット集』収録作を刊行者ジャガードが1599年の時点で入手できた理由は不明。フランシス・ミアズの『知恵の宝庫』によると、シェイクスピアのソネットは1590年代前半にはすでに書かれており、知人たちのあいだで回し読みされていたらしいことが窺われるので、その中の誰かが横流ししたものと推測されている。〕)に収録されているソネット138番とソネット144番であり、3番、5番、16番はいずれも『恋の骨折り損』第4幕からの抜粋である。 それ以外の詩篇についても、作者が特定できているのは4篇にとどまる。19番はクリストファー・マーロウの『情熱の羊飼いの歌』(''"The Passionate Shepherd to His Love"'')にウォルター・ローリーの返歌『羊飼いに対するニンフの答え』をつけ加えた粗雑なテキストである。また11番はバーソロミュー・グリフィンの''"Fidessa"''(1596年)ですでに発表されていた詩であり、8番と20番はリチャード・バーンフィールドの作で、やはり''"Poems in Divers Humors"''(1598年)において既発表であった。 残りの11篇は作者不明のままである〔これら出典不明の詩篇が知られざるシェイクスピア作品である可能性はきわめて薄く、結局のところ『情熱の巡礼者』はジャガードがシェイクスピアの名声を利用して一儲けを狙った海賊出版にすぎないというのが一般的な評価である。〕。批評家ハレット・スミスは、読者に最も好まれた12番がシェイクスピアの作品である可能性を示唆しているが、具体的証拠はない。『情熱の巡礼者』の出版人ウィリアム・ジャガードは、のちにシェイクスピアのファースト・フォリオの刊行も請け負っている。1612年に出た増補版(第3版)ではトマス・ヘイウッドの詩9篇が無断で追加収録されているが、この版においてもあいかわらず作者はシェイクスピアの単独名義とされていたため、ヘイウッドはジャガードに抗議してシェイクスピアの詩集であると騙るのを止めさせている〔ヘイウッドは『俳優弁護論』(1612年)でジャガードを非難しているが、この文章の中でシェイクスピア本人も自分の名前を無断使用されたことに憤っている旨を伝えている。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「情熱の巡礼者」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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