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『憲法の「空語」を充たすために』(けんぽうのくうごをみたすために)は、内田樹の憲法論。 2014年8月15日、かもがわ出版より刊行された。装丁は上野かおる。本書のまえがきは、著者のブログでも読むことができる〔『憲法の空語を充たすために』まえがき (内田樹の研究室 2014年7月5日) 〕。 同年5月3日、神戸大学名誉教授の和田進〔神戸大学発達科学部人間環境学科 社会環境論コース:教員紹介 和田進 〕が主催する兵庫県憲法会議は神戸芸術センターで「神戸憲法集会」と題する集会を行う。本書は、同集会で内田が行った講演に加筆したものである。 == 内容 == ;神戸市と神戸市教育委員会の後援拒否 : 上記「神戸憲法集会」をめぐっては、実行委員会が2013年末に市と市教育委員会に後援を依頼したものの、市側が「護憲・改憲それぞれ政治的な主張があり、集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」と後援を拒否するという出来事があった。これは各メディアで報道されるところとなり、内田も『サンデー毎日』から電話取材を受ける(2014年5月11日号に掲載)。どう思うかという記者の質問に対し「そういう考え方もあっていいと思う。でもそれなら一つだけ(注・神戸市と教委に)約束してほしいことがある」と前置きし、次のように述べたという。 :「もし、この後国会で改憲が議決され、国民投票で過半数をとって、自民党の憲法改正草案〔自由民主党 日本国憲法改正草案(現行憲法対照) 〕のようなものが憲法になったとしますね。その『新憲法』発布の日を記念して『憲法集会』が開かれた場合に、神戸市と神戸市教委はそのような集会を後援したり、そのために公費の出費をしたり、公務員を派遣したり、いかなる公的支援もしないと約束して欲しい。僕は自民党改憲案のようなものが憲法に制定された場合にはそれに反対するはずです。(中略) ですから、その新憲法についても『改憲護憲さまざまな政治的意見がある』のは間違いない。だとしたら、そのときも神戸市と神戸市教委は原則を貫いて『いろいろな意見があるトピックについては、政治的中立性を保つために、護憲改憲いずれの活動にも関与しない』と断言して頂きたい」〔本書、15-16頁。〕 ;日本国憲法第99条 :後援拒否問題にからみ、日本国憲法第99条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という文言が取り上げられる。内田は「公務員が日本国民であるわれわれが開催した護憲集会について『政治的中立性がない』と判断したということは、理論的には公務員でありながら憲法尊重擁護義務を拒絶したということになる。(中略) でも、問題はそのことにあるのではありません。これが公務員が公然と憲法尊重擁護義務を放棄したという政治史上の一大事件であるにもかかわらず、それがまったく問題になってないこと、それが問題なのです」と述べる〔本書、18頁。〕。 ;自民党憲法改正草案 :憲法改正草案に対する内田の感想は次のとおり。 :「自民党憲法は条文を読むと、それを起草した政治家やアイディアを出した評論家たちの顔がありありと浮かんできます。彼らの欲望やルサンチマンが行間からにじみ出してくる。そういう点で言えば、きわめて『人間的』なのです。条文にパーソナルな手触りが感じられる。民主制が嫌いで、効率的な政治がしたくて、経済成長に特化した独裁的な統治システムを作りたいと願っている人たちの、血走った目の色や吐く息の匂いまでがはっりきと感じられる」〔本書、22頁。〕 :「現代の新自由主義者やグローバリストたちが何に価値を見出しているのか、何を信仰しているのかを知る上ではきわめて有用な第一級の民族誌的資料だと僕は思います」〔本書、80頁。〕 ;第2次世界大戦について :丸山眞男の論を援用しつつ、日本は、ドイツなど諸外国に比して「戦争目的が何だかわからなかった」ことを指摘する。 ;憲法9条にノーベル平和賞を :「憲法9条にノーベル平和賞を」(''The Nobel Peace Prize for Article 9 of the Japanese Constitution'')は、神奈川県座間市の一市民が発案した社会運動である。2014年4月9日にノルウェー・ノーベル委員会から推薦を受理したとの連絡を受け、日本国憲法第9条はその年の正式に候補となった〔「「憲法9条をノーベル平和賞に」推薦受理 実行委に連絡」『朝日新聞』2014年4月11日。〕。内田は「僕がもしノーベル平和賞の選考委員だったら、『これにしよう』と言います」とはっきり述べている〔本書、39頁。〕。 ;株式会社的マインドが日本人の基本マインドに :株式会社とそれ以外のすべての組織体の決定的な違いは「株式会社の有限責任」の点にあることを改めて説く。内田の論は以下のとおり。 :「仮に安倍首相が戦争を始めて、それによって多大の犠牲者を出し、その戦争責任を問われた場合に、彼は『私のしたことに文句があるなら、次の選挙で落とせばいい』と言うつもりでしょうか。選挙の当落が政治家にとっての最上位の審級であって、失政が国内外に及ぼした損害に対する責任は最大限が『次の選挙での落選』であり、それ以上の責任を問われることはない、と。安倍首相はそう考えているのでしょうか。たぶんそう考えているのでしょう。だから、国民国家と株式会社は同一に論じることはできないという『当たり前のこと』を僕は繰り返し主張しているのです」〔本書、59頁。〕 ;立法府の無力化・行政府への権限の集中 :内田は言う。「立法府の知性的・倫理的優位性の毀損という作業は、議員たち自身を共犯的に巻き込みながら進行しています。正直に言うと怒られるかもしれませんけれど、『官高党低』と呼ばれる現在の自民党の力関係は、党の要所要所に『使えない人間』を選択的に人事配置することで意図的に創り出されたものです。(中略) 議席数はできるだけ多く欲しいが、政治的見識が高くて執行部の指示に簡単に従わない議員は要らない。この矛盾する要請に応えようとしたら、たしかに『使えない人間』を選択的に候補者認定するというのが唯一の解なのです。これに気づいたのは誰だか知りませんけれど、立法府の無力化・行政府へ権限の集中という流れの中で見るとまさに最適解だったと言う他ありません」〔本書、75頁。〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「憲法の「空語」を充たすために」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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