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成形炸薬弾(せいけいさくやくだん、、成型炸薬弾とも表記)は、成形炸薬を用いた砲弾・弾頭である。モンロー/ノイマン効果を利用しており、主に対戦車用砲弾および対戦車ミサイルに用いられる。戦車を標的として開発されたことより対戦車榴弾(HEAT:High-Explosive Anti-Tank)と呼ばれるが、対潜水艦兵器の弾頭としても使用されている〔日本で最初に使用されたのは97式魚雷〕。APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)などの運動エネルギー弾に対して「化学エネルギー弾」に分類される。 == 原理 == 成形炸薬弾は、円柱状の炸薬(現在RDX、HMX系が主流)の片側を漏斗状にへこませ、そこに同様な形状に金属板(ライナー)を装着した形状をしている。 へこませた側と反対側から起爆させることで発生した爆轟波によりライナーは動的超高圧になり崩壊する。金属のような固体でもユゴニオ弾性限界を超える圧力に曝される場合、液体に近似した挙動を示す。この結果、爆轟波の進行に伴い漏斗中心に発生したスタグネーションポイント(圧力凝集点)によって底部から先端まで絞りだされるように液体金属の超高速噴流(メタルジェット)が起こる。これがモンロー/ノイマン効果である。 爆轟波が進行していくと生成されたジェット自体は速度勾配によって細長く伸び、やがてブレークアップする。最も良く用いられる、ライナーを銅としたモデルの場合、一般に約7-8km/sの高速のメタルジェットとなり、戦車などの装甲を侵徹する。その原理は、接触したメタルジェットの運動エネルギーで今度は装甲との相互作用面がユゴニオ弾性限界を超える超高圧状態となり、装甲材自体の機械的強度は無視され、ほぼ液体として振舞う中、ジェットが突き進むためである。これは、装甲侵徹技術としてAPFSDS登場以前の運動エネルギー弾とは異なった威力を示している。 進行するジェットはやがて速度と圧力が減少し、フラグメンテーションを起こし侵徹能力を失う。最後にジェットに成りきれなかったライナーがスラグとして飛んで行くが、既に実用上の効果は失った残滓である。このことから、ジェットが装甲を貫徹して内部に侵入してもジェットの軸線周囲しか加害できない。内部を十分に破壊するためには、ジェットの侵徹口から、爆風や弾片などが噴き込む事が必要である。 弾体が高速で旋転していると、その干渉でメタルジェットの収束が阻害され容易にフラグメンテーションするため、滑腔砲や低初速の施条砲からの発射が望ましいが、現在ではスリップリングの取り付けにより数rpm程度の回転数に押さえることで、高初速大口径の施条砲から発射された場合でも効果を大きく減ずることはない。この場合弾道安定はAPFSDS同様に安定翼により行われる。 なお、侵徹力を増すためには、弾頭を大型(特に口径を)にする以外に、漏斗形状やライナーの加工精度の改善の他、効率良くメタルジェットが生成するよう、球面爆轟波を平面波とするため不活性物質のウェーブシェーパーを組み込んで爆速を調節したり、爆速の異なる2種類の炸薬を組み合わせた爆薬レンズ構造を用いたりしている。将来的にはより高爆速の炸薬(CL-20など)を用いたりする他、ライナーを銅より高密度高延性なタンタルや、モリブデンなどの合金に材料を変更するなども研究されている。別の工夫として爆風が入る前に侵徹口を塞ぐ恐れのあるスラグ排除のためインヒビターを装着することもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「成形炸薬弾」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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